第17話

 鉄の剣は、1万円だった。高校生にとって大きな収入だ。遊びに使いたいが、武器を買うために貯金をしたい。今回は貯金に回す。


 さて家に帰り待望のスキルブックを使う。その本が光だし、球体を形作った。そのまま体の中に入っていく。


「これだけ?」


 と言ってしまった。絶対他にもいい演出はあっただろとツッコミを入れてしまうのも仕方がない。レベルの確認だ。まずレベルだが、メインは8レベにサブの風魔法使いは5レベに、土魔法の方は4レベになっていた。昨日よりも上がり幅が大きい。


 それほどまでにゴブリンの経験値がスライムより大きいことがわかる。一旦ご飯を食べる。それも終え、ステータスを確認してから寝るつもりだ。


 まずはスキルだ。レベルは10になっていないのでユニークスキルは追加されていない。通常のスキルチェックだ。暗器術が追加されていた。


「いやいや短剣でしょ」


 短剣しか使っていなかったが、その使い方に問題があったのかもしれない。使い方とすれば、奇襲や闇討ちだ。どっからどう見ても暗器として使っている。認めたくないが認めざるおえない。


 他には新しいスキルは獲得できていないようだ。今回は魔法メインや、暗殺を中心にした。そのため、魔法スキルや、隠密系のスキルが上昇していた。通常の戦闘スキルが手に入ったのでそれを活用できればいいな。


 格闘術ということはステゴロだ。ということは手を守るもの・・・。ガントレット?を買わなければならない。それかグローブか。


「はー、出費が多いー!!!」


 そんなことを言いながらベットに飛び乗る。冒険者は出費が多い。親が成功している人ほど成功しやすいと言われているだけある。一攫千金だが、それまでの道のりが長い。


 だが、近道もなく地道に泥臭く前に進み続けるしかない。これに職業差も出てくる。本当に限られた人でしか、一攫千金をできないようになっている。


 考えても暗くなるだけだ。一旦寝て頭の中を整理するとするか。


 ___________


 ちゅんちゅん。と鳴き声と朝日が迎えてくる。


「寝過ごしたー!!!」


 本来であれば、あの後1時間後に起きて、今後どんなスキルが欲しいか考えようと思っていた。だが、アラームを寝ぼけて止めていて、気がつけば朝だ。さらに学校が始まる。急いで荷物の準備は終わっている。朝ごはんを片手に外に飛び出し、自転車を出す。


 急いでペダルを踏む。なんだかいつもより自転車のスピードが早くなっているように感じる。なんとか学校にはついたが、急ぎすぎたせいか汗を少しかいてしまっている。


 汗ばんだシャツが体に張り付き、ベタベタする。クラスごとの教室があるが、それを確認する前に自転車を置きに行く。だが、そこには多く止められていて、なんとか1箇所だけあきがあったのでそこに入れることができた。


「えーと教室は・・・。2組か」


 靴を下駄箱に放り込み、その教室に向かうべく階段ダッシュで向かう。やはり身体能力が上がっている。いつもであればこのぐらいの階段だとぜーはーぜーはー言いながら上がることになるのだが、息が切れることがない。


 こんなことでステータスの上昇を感じるのはいやだ。他の体力測定とかでわかるのならまだ嬉しい。一瞬で、そこの教室に着いた。急いでいたのでガラガラーと勢いよく扉を開けた。そのせいで音が大きかったのか皆からの注目を浴びてしまった。すぐにそれは無くなったが、ちょっと悪目立ちをしたかなとこれからの学校生活に不安を感じる。


 あの4人とはクラスが違う。4人と俺1人という感じに分かれてしまった。なんだろうこの、運命に弄ばれている感じは。決められている座席に座った。どうせ、一瞬で終わる。無難な挨拶で十分だろう。そんなこともあり、考えていた。だが、それより先に入学式があるようだ。

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