第16話
魔法で倒すことにおいての問題は、ダメージの低さだろう。尖っていないので刺すような攻撃もできないただの物理攻撃になる。質量の塊なので当たりどころがよければ一撃で倒すことができる。水にしてもよかったな。
呼吸をしているはずだ。そのため、口を塞いでしまうともう息ができないだろう。そのまま窒息死で完封勝利だ。だが、水魔法は持っていない。ないものねだりや現実逃避は無駄だ。
諦めて喉を掻っ切るように奇襲した方が早いと思う。今回はそのようにして稼ぐとするか。ということで魔法は諦める。というか明日から高校に入ることになる。正直職業で何か言われないか不安だが、なんとかなればいいなー。
そんなこともあり激しくダンジョンに潜るつもりはない。だが、今回の元は取りたい。そんな思いが葛藤している。明日まで疲れが残らないようにあと1時間いや、2時間だけでもいいから潜ろうと思う。
そんなことを決め、1時間たったころだろう。何やら銀色に光物が見えた。まさか、と思い近づくと鉄製の武器を持ったゴブリンがポップしていた。
武器を奪うためには、倒す前に武器を取り上げてから倒すことでドロップ率が上がると言われている。まさにそれを試すつもりだ。この階層には武器を持っているものが現れるが魔法武器を持っているものは現れない。そのため、安心して戦いに挑むことができる。深い階層にいくと、魔法武器を持っているものも現れるようだが、戦いにくく好んで戦いに行かないらしい。
魔法武器ということもあり、武器の効果がわからないから戦いたくないということだ。即死効果や毒は戦っている中できついからなー、と考える。
さて今回の持っている獲物は何かな。西洋剣や短剣の2択になる。バスターソードのような大剣はゴブリンでは戦うことができない。ステータス不足だ。それを考慮してか、大剣は現れない。
この階層にはいないが、弓を使ってくるものもいる。それの対策で風魔法をとったぐらいだ。それほどまでに危険になっている。中には毒が塗られているものもあれるぐらいだ。その毒は10分ほどで死ぬと言われているほど強力な仕様だ。
はたして、剣であってくれ、そっちの方が高く売れる。そのまま奇襲を仕掛けるべく、ゆっくりと近づく背後が見えた。と思った途端、後ろを振り返られた。一瞬バレたのかと思ったが、そのまま真っ直ぐに進み出した。
「ふー」
安堵のため息が漏れた。最初の泥試合を再びしたくはない。あの一瞬で武器がわかった。剣だ。これは高く売れる。リーチを考えて動かなければ腕を切られてしまう。下手をすれば首ちょんぱだ。こんなところでは死にたくはない。いつもより慎重に行動に移さなければ。
急いで首を切りに近づく、殺してから剣を奪えばいいか。とりあえず、殺す。意志を固くした。そのまま、短剣を首に刺し、横に掻っ切る。そこから、血が溢れ出ているがなんとかたっている。まだ、姿を見られていないことから奇襲がまだ可能だ。
そのまま、うなじ目掛けて短剣を両手で押し込む。うまくいったという感触はあった。さらに貫通しているようだ。このまま時間が過ぎ去れば勝てる。そう確信ができるほど心に余裕がある。だが、そのゴブリンは一味違った。最後の力を振り絞ってか、近づいてきたのだ。一歩一歩少しずつだが、近づいている。それに対し、俺は短剣を前に出し構えているだけだ。今姿を見られていて、バレている。ここから隠れることができない。
これで決着をつけるか。そう決意し、力をめいいっぱい入れる。これが最後の一撃と言わんばかりに。
だが、そんなことも束の間、前屈みにゴブリンが倒れた。これが勝利へと確定させた。今のうちに武器を奪うことができた。正直こんな勝ち方をしていいのか?と思ってしったが、これは生き残るためだ。と思いこむことでなんとかなった。
さて何が落ちるのかなー。とワクワクしている。戦っていたゴブリンの体が光だす。ずっと倒していたが、こんな演出はなかった。だが、剣は光っていないことから、大丈夫そうだ。
そのまま光になると、そこには一冊の本が残っていた。
「これが例の」
スキルブックだ。正直ゴブリンだからと言って甘くみすぎていた。あの距離がもう少し近くにいると攻撃をされていた恐れがある。
反省する前にゴブリンのスキルブックの効果を見るとするか。その表紙に目をやる。表紙にそのスキルの名前が書かれている。格闘術と書かれている。今一番に欲しかったものだ。今は短剣を持っている。だが、その短剣がなくなったり壊れたりした時には逃げることしかできなくなる。
それを避けるために格闘術系のスキルが欲しかった。それがピンポイントで出たことに嬉しさが込み上げてくる。今はダンジョン内だ。一旦家に帰ってから使うことにする。とりあえず脱出するか。
剣が落ちたことにより元は取れた。そのため少し早いが、家に帰ろうと思う。家に帰ってから反省会とスキルブックだ。その前に換金をするか。そう思い換金場に向かう。
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