第555話

 10月末になり、毎年恒例となりつつある、ハロウィンイベントが始まろうとしていた。そして、ダンジョンにやってきた。だが、その風景はいつものものと変わらない。


 周りの人たちも困惑しているようだ。そして、2階層に上がった。そこに現れるのは、ゴブリンだ。いつものゴブリンのように素手で戦うのかと思いきや、その手には針を持っている。見た目は手縫い用の針みたいな感じだ。


 糸を通すようの穴が空いており、長さはゴブリンの背丈ほどある。もう針というよりは一種の槍と見た方がいいぐらいだ。動きもゆっくりで簡単に殺すことができる。そして、ドロップは一寸法師の本だ。そう、今回のモチーフは本だった。


 その一寸法師の本をめくっていくと、怖い方の童話だった。今の童話はデフォルメされており優しく書かれているものがほとんどだ。だが、元のものはもっと過激に描かれている。それが現代文で書かれているものがドロップした。


 需要ってあるの?これ?また、強制買い取りのパターンかな?一寸法師の場合は、結婚するために鬼ヶ島に行ったはずだ。だが実際には、一寸法師が女のところに米を置いた事によって追放されるみたいな感じだ。


 行き先にいるゴブリンを殺していると、針もドロップした。その針の方が需要が出そうだな・・・。効果は、魔力を込めると糸を穴に通してくれるものだ。なかなかあの穴に入らずにイライラすることが減る。そう考えれば需要は絶対に生まれるな。


 そして、2階層のコボルトは赤ずきんかな?3匹の子豚の方かと思っていた。コボルトは、童話の本と赤色の頭巾をドロップした。血で染められていたようで、黒く変色しているところもある。さらには色をつけることができておらず、元の白色の布が見えるものもある。


 呪われそうなので売却だな。4階層のゴブリンも一寸法師だった。だが、もう本はドロップしないようだ。そして5階層のオークは、色が赤く染まっており、赤鬼を彷彿とさせる見た目だ。腹は大きく飛び出しているが、その代わりに足の筋肉は発達しているようだ。武器はもちろん棘付きの金棒だ。


 そして、その後ろにあるのは金銀財宝の山だ。あれはオブジェクト扱いだろうな・・・。触ることができても持って帰ることができないやつだろう。そのオークのドロップは、赤身の肉だ。


 赤だけにと言いたそうだな・・・。

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