第998話

 金曜日の大学のダンジョンにやってきた。どうするのが正解なのだろうか?次々に新しい階層に行ってもいいし、マップ埋めをしてもいい。悩ましいな。少し悩んでから、新しい階層に行くことに決めた。ゴーレムなんかは探して殺すなら他のダンジョンでもできるだろう。だが、迷宮型のダンジョンなんてここが初めてになるのだから、ある程度知っておいて損はない。


 15階層に移動してそのまま16階層に向かう。そこにあったのは、植物園だ。組み上げられた植物が壁になり迷路になっているところだ。壮大なフィールドだ。草木の背丈が低いため、ジャンプして超えることもできるだろうと思ったが対策されているようだ。2mほどある壁の天井に透明の屋根が敷かれている。そのため、移動することができなかった。ゴールは簡単だ。中心に向かえばいい。


 おそらく入り口は複数個あるのだろう。他のものよりも許容人数は多いが、フィールドが狭いタイプのものだ。出てくるモンスターはトレントだった。ところどころに木が生えており、道に侵食しているところが何箇所かあった。


 植物の迷路なんだから、木があるのは当然だろう。そう思っていたが、さすがに木が道の中央にあるのはおかしいと思い鑑定をすると案の定トレントだった。ドロップは白菜だった。さらに疑う結果になり、行き止まりの場所も疑ってしまう。


 植えられ手入れされているものなら繋がっているはずだ。だが、行き止まりにあった壁は少し隙間が空いていた。それに疑問を持ち鑑定をする。それはプラントトレントというモンスターだった。長方形に整理されていたため、ただの壁役だ。すぐに殺し次に進む。


 気をつけるところが多いな・・・。


 それ以前にこの階層はマッピングが無駄だ。足が生えているプラントトレントに動くことができる通常のトレント、ほとんどが木を目印にして動くことになる。マップを書くとしても道と壁を書きながらマッピングしているのがほとんどだ。


 その目印になる木や壁が動くのだから、これに気が付かないと地獄になってしまうだろう。迷子で飢え死にしてしまうだろう。一番凶悪な階層かもしれない。まあ、気がつけば全ての壁を殴ると壁に擬態しているものを殺すことができるだろう。


 見分け方も簡単だ。植物ということもあり、隣の道をうっすらと見ることができる。だが、このプラントトレントの場合は全く見ることができなかった。おそらく成長段階に何かしらを加えたのだろう。成長する時に型にはめておくとその形に定着するようなものだ。


 おそらく、壁になるように長方形の型に入れられた状態で成長していたのだろう。植物の密度が高すぎて隣の道を見ることができなかった。これが正規の見分け方だ。壁が化けていることを見つけてから、来た道を戻りながら確認をする。


 やはりあった。曲がり角で行けるところにこのトレントが配置されており、右に曲がることができなくなっていた。クリアさせる気がないだろ・・・。

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