第234話

 最後に魔術師と、白狼のセットで戦ってもらうか。どちらか1人の場合、近寄られると死んでしまう。それを防ぐためのセットだ。これからも一緒に行動をする機会が多くなってくるはずだ。新しく出た能力に困惑しないようにするには協力して戦うことでその力量を把握することが近道だ。


 本当の近道だと、殺し合いをしてもらうのが手取り早いが、そんなことはしたくない。ということで、邪眼と闇魔法の力を見せてもらおうか。協力してくれよ・・・。相手のコボルトは、弓が1体、短剣が3体、杖が1体だ。相性は悪い。


「ワオーン!!」


 遠吠えを繰り出す。それに反応したコボルトがそっちに向かい走り出す。あらかじめ、コボルトの数は教えている。だが、武器を教えていないので、ここをどう乗り越えるのかが気になる。素早い短剣が多い中近づかれることなく倒すことができるのか?


 広く見渡しが良い位置に誘き出すことができた。そして、白狼の目の黒色のところが赤色に変わる。邪眼を発動したようだ。効果は麻痺だ。見つけた瞬間攻撃をしようと、近づいてきていた短剣3体に当たり動きを封じる。横からはダークボールだ。動くことができないその3体の腰に当たり浸食する。これで下半身の感覚がなくなった。


 ダークボールが当たった時に邪眼の効果をとく、これで動くことができないだろう。今のうちに後衛の処理を開始する。邪眼発動時にも攻撃をされてはいたものの、全て避けていた。魔力をあまり込めないようで、そのスピードは白狼にとって遅い。


 矢は、スピードの変化という変化がない。先読みもされない攻撃だ。もう、数歩動けば余裕で回避する。邪眼を解いたことにより白狼はもう自由だ。動くことのできない短剣から仕留めるか。後衛にとっての天敵になる魔法使いや弓を殺しに行くかだ。


 もう、魔術師も合流している。ヘイトを買っているのは白狼なため、攻撃は全て白狼の元に向かう。気が付いてはいるものの、魔術師を脅威とは思っていないようだ。一番脅威なのは白狼そう決めつけている。最初に狙うのは、弓からのようだ。魔法を魔術師が打ち消して、白狼と弓の戦いが始まる。再び邪眼を一瞬発動させた。


 矢を構える前だった。構える直前で硬直したことにより構える際に違和感が出てくる。その違和感を堪えながら、放つ。そのスピードは今まで放っていたものよりも格段に遅く、簡単に避けれてしまう。さらに、白狼の背後には弓の仲間であるはずの短剣がいる。


 焦っていたのだろう。背後にいる短剣まで配慮が回っていなかったようだ。その足を矢が刺さる。感覚がなかったが、血は流れていることから焦っているようだ。当てた弓はそのことに呆然としている。その隙に白狼が、喉を切る。これで残り4体だ。


 魔術師と向かいあっていた杖は、もう魔力が尽きているようだ。魔法で守ろうとしていたが、魔力が足りず出すことができなかった。そんな魔力切れで殺されてしまう。


 残った短剣3体も回復したようだ。だが、感覚が戻ったばかりのため、スムーズに動かすことができない。動きが鈍っているところにウィンドランスとアイスランスが放たれ続ける。魔法が止み終わった頃にはコボルトは全身が蜂の巣状態だった。

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