第514話

 前に来た時は、探索に時間を使っていた。そのため次の階層がどうなっているのかわからない。メタ的な話をすると、この階層に力を入れていた。その結果資金が足りず、島を作ることはできなかった。と予想しておこう。


 予想とは違い、いつもとは違う光景がそこにはある。それは南国のリゾートの気分だ。煌びやかな太陽に、ただを焼かれ眩しい。そして、出てくるモンスターは変わらない。エスケープゴート?なのか?


 俺を見つけても襲ってくることはないので、そのまま放置する。見た目はサングラスを掛け、肌(毛皮)が小麦色になっている。日焼けをしているようだ。そして、一番目立つのはその毛皮の上にきているオロはシャツだ。


 海から陸にかけて流れる風により、そのシャツが動く。涼しそうだなー。そう思いながら観察を続けていると、何やら椅子がある。しかもその横には、魔石を置いてくださいと書かれている。


 面白そうなので、それを置いてみることにした。太陽の下に傘を刺されており、砂浜に寝そべるサマーベットの上に乗る。やってくるのは、エスケープゴートだ。やはりトラップか?と思い。いつでも魔法を放つことができるように構えた。


 だが、それは杞憂に終わった。一番前にいるヤギがアロハシャツを片手に走っている。どうやら移動販売のようだ。そして到着と同時に看板を指差す。・・・あー、欲しければ魔石をよこせと?


 いいだろう。くれてやる。溜めていてよかった。サービスはまだ続く。エスケープゴートの口から煙が出てくる。戦闘中に出していた霧か?と思ったが、少ない。さらに上に上がるのではなく足元だけだ。


 サマーベットの上に上げていた足をおろす。初めはビクッとしてしまった。そうひんやりしていたのだ。エスケープゴートならぬ、ミストゴートだったのだ。


 そして、アロハシャツを受け取り鑑定をする。その結果は、暑さ快適化だ。暑さに関しては適温をキープすると言うものだ。寒さには効かない。だんだん暑くなっている中でこれほどちょうどいいものはないだろう。


 快適・・・。ここにずっと居たい。これがダンジョンの力か。恐ろしい。ここで飲み物があれば・・・。売られている。ヤギの乳だ。他にも水が売られている。こんなダンジョンの中にソーダやラムネは酷か。


 あれば本当のバカンスなのに・・・。だが、そんな時間も一瞬で終わってしまう。どっかに行ってしまった。時間切れだろう。魔石の予定時間が過ぎ、帰っていった。商売だな・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る