第1268話

 戦いの方は順調そのものだ。順調といっても普通そのものだ。15分が経つ。銃口を上にあげ、2発弾丸を放つのだった。


「どうだった?」

「槍は普通。だが、決定打が足りない」

「必殺技の開発かー」

「はー、はー、必殺技って、はー、必要です?」


 息切れをしている中、そんな疑問を槍使いくんオデンが投げかけるのだった。


「うん、必要かな?」

「必要だな」


 敵の強さを測る上でも重要になってくるのが必殺技だ。その威力でも殺しきれなければ、自分では勝つことができないと判断する、判断材料にもなる優れものだ。といっても全力で当たってその後動くことができませんでは良くない。それは必殺技というよりかはロマン砲だろう。


「そうだねー、何か変なスキルとか持っていないの?」

「変なスキルですか?」

「婆娑羅でいうところの槍を宙に操るスキルとか、別に武器でもいいよ?」

「それなら、これですかね?」


 真っ赤に染まっている槍を取り出す。婆娑羅の目が輝く、槍マニアの婆娑羅にとって見たことがない槍だったのだろう。


「その槍の効果は?」

「解放」


 その言葉と同時に体が赤いクリスタルのような結晶の鎧に覆われる。視覚とかどうなってるのだろうか?


「かっこいいね」

「何円くらいで売る!?」

「買い取る前提かよ・・・」


「売りませんよ」

「だってよ」

「ッチ」

「婆娑羅、そう悪態つくなよ」


 鎧の頭部を解きながら答えるのだった。


「その鎧のメリットは?魔法防御と物理防御が高いことですね」

「視覚は問題ない感じ?」


 視界として情報を手に入れる目が隠れている。そのため、視覚から情報を得ることが難しいと感じた。だが、その問題はなかったようだ。


「クリスタルが反射して、全方位の情報は見れますね」

「武器の使用制限は?」

「別に他の槍を使っても問題はないですね。ただ、意思を持った武器ですから、貴方をずっと警戒しているみたいですね」


 意志を持つ武器はやはり存在しているようだ。反抗されると困ったことになるのだから、欲しいとは思わない。というかいらない。すぐに鎧を作ることができるように最低限の部分しか顔を開けていない。


「素材になった槍は?」

「手元に出すこともできますよ?」

 手のひらから槍が作られていく。


「前のパーティーの時、それを使ってタンクでもしてた?」

「そうですねー。タンクをしていました。わかります?」

「攻撃時にあっているのかの躊躇いがあったのと、殺す時に自分から戦うことになれていないような感じがあったからね」


 槍を使うタンクとか珍しいな・・・。鎧があるからこそできるタンクって感じだな。タンク特化なのに、アタッカーをしていたのか・・・。そりゃあ、次の階層に行きにくいわけだわ。攻撃をして、絶対に殺してくれるという味方がいないのだから、そうなるのは当然だな。


「パーティーの変更でもしてもらう?」

「それも考えたんですけど。あれが他の人のところに行って不幸な人を生み出すのもどうかと思って・・・」

「自己犠牲は良くないよ。自分の好きなように赴くままに生きないと、つまらない世の中だよ?」

「そうですけど・・・」

「まあ、考えておきなよ?」

「ですが、パーティーを別れた時の行き先って?」

「そうだねー。もう1人余ってるじゃん」

「後ろから魔法を打ち込まれるのだけは勘弁してください」

「違うそっちじゃない」

「あー、あの人ですか。確かにありですね」


「切り捨てるのなら、早めに決断することを薦めるよ。で、話を戻してそのアーマーモード?」

「クリスタルアーマーですね」

「それになったときに動きにくいとかはあるの?」

「特にないですね」

「婆娑羅、何かいい案ある?」

「とりあえず、それで戦いなれてからだな」


 そう言いながら俺の方を見る。あーはいはい。それで察することができない男ではないからね。

「とりあえず、その状態で動くことができかの確認をしたいかな?」


 コボルトを2体召喚する。


「この2体と戦ってね?別に怪我をしてもヒーラーがいるから大丈夫だよ?」

「はい!」


 そう言いながらコボルト2体との戦いが始まった。

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