第1252話
銃声を鳴らしながら、ある勇者は魔王城に入り、ある勇者は塀上のスケルトンを殺しに行く。塀上にいるスケルトンはすぐに討伐が終わり、残りの全方位からやってくるスケルトンの対処に追われることになる。外に残ったのは、6割ほどの人数の勇者が残った。ここでやってくるのは人数不足だ。本来の予定になかった行動がこれを引き起こしたのだった。
魔王城の中は3階構造になっている。1階、1階が広く、広大なスペースでの戦闘を行うことができる。まずは1階層に陣取っているのは、スケルトンナイトだ。複数の腕を持つように改造された体は、バランスを崩すことなく移動や攻撃を行うことができる。大きさは人間とさほど変わらない。その背後には銃を持ったスケルトンが何体もいる。
ここは俺に任せて先に行けということは起きず、全員で攻撃を仕掛けることで簡単に撃破する。この魔王城に侵入したのは、勇者協会を立ち上げた時にいた最初の勇者が基盤となっている。そのため、コンビネーションは取りやすい状況だといっていいだろう。
かませ犬役が死に、次は魔法使い型のものだ。2階に足を踏み入れ、扉を開けた瞬間にファイヤーランスが飛ばされたのだった。それを大楯の勇者が受け止め、防ぐのだった。次の魔法を警戒しつつ、勇者たちがその部屋に流れ込んで行く。
勇者が部屋に入って瞬間に攻撃を仕掛けるために走り出すのだった。部屋を支えるための柱と中央を見るように篝火が存在している部屋だ。その柱の後ろには、スケルトンが立っておりその手には弓が握られている。その勇者が1本目の柱を通り過ぎた時だった。横から奇襲として放たれた弓は鎧ごと勇者の横腹を貫き隣の柱に刺さる。魔王城に入ってからまずは1体目の勇者が死ぬ。
下の階層のスケルトンナイトの配下も銃を使っていた。このことからこの魔王城内にいるスケルトンは銃を使うと固定観念が入ったのが敗因だ。勇者の思考は、音が聞こえた瞬間魔法を発動したり、避けたりすれば簡単に避けることができると判断していたようだ。
その弓から後衛のヒーラーや魔法使いを守るために数歩大楯の勇者が前に出る。この時だった。入り口の真上に造られたアースボールがそれぞれに落とされる。真上を見ずにこの2階層に入ったのが間違いだ。ここにいるもの全てが知性を持っているのだ。だが、こんな卑怯な戦い方をしてくることを誰もが予想をしていない。
何も守るような能力がなかったヒーラーがこの攻撃によってミンチにされた。魔法使いの方はアースボールを破壊することで無傷だった。最速で一番邪魔な弓のスケルトンを殺すように動こうとする。双子の勇者だった。そのどちらもが探検を操り、速度による切り付けで殺すことを得意としている。
その速度を生かしながら柱の影となり暗闇となっている方から走り出し、弓を殺して選択肢を狭めようとしていた。暗闇に入り、加速をし最速のスピードになった時だ。暗闇からズサーッと滑る音が聞こえる。勇者は誰もがスケルトンを殺して押し倒した音だと思った。
だが、その音の後に叫び声が上がる。魔法使いの1人がライトボールを通って行ったところに当てる。そこには片足をなくし、うずくまっている双子の勇者の1人に止めとばかりにその勇者から奪った短剣を頭に突き刺そうとしているスケルトンがいる。血が滴ることで、ライトボールの光に反射し、その罠が何だったのかがわかる。その罠はワイヤーだ。斜めに仕掛けられた1本のワイヤーはちょうど柱の影に重なる。
最初の勇者が殺されたことによる焦りや怒りによる罠への警戒をする思考の収縮、暗順応による暗闇で何も見ることができない状態。この2つが重なることで罠が本格的に動く。細いワイヤーはこの狭く薄暗い状況で有効に働く。
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