第1272話
これで大体、1時間程度だった。この10階層までは正直言って、大抵の人が攻略方法を知っている。10年続いてアプデも入らなかったゲームに、いまさら初心者が苦戦することはないのと似たようなものだ。観察の仕方、倒し方、弱点、この辺りは調べると大量に出てくる。今から始めるという人にはライバルが的な存在、言わば指標のようなものが見えることになる。その点だけ優れているようだ。付け入る隙はここになるだろう。
これも2グループあることがかえって欠点になる。同じことを繰り返すのだから視聴者が離れていくというものだ。変わったことをすることで視聴者を引き込む。これが配信者の鉄則だ。ゴブリンの先頭に行けば、初心者の悪戦苦闘で盛り上がるところが現れる。だが、スライム狩りで終わっているため、誰も盛り上がらずコメントも動かない。
隻腕の剣士とかいう変な職業を手に入れたのだから、そこについて深掘りをしていけばよかったはずだ。一旦帰って、短剣から大剣まで幅広い武器を用意して、どれが反応するのかを試す機会にもできただろう。最初の方は視聴者が少なかった。だが、職業が判明した瞬間、一気に人が増えたのだった。この隻腕の剣士の職業に誰もが気になっていたのだろう。
だが、この配信では触れられなかった。もし検証をしてれば、その職業の成長性を期待して、見続けてくれるものがいただろう。もう配信は終わってしまったことだ。触れられることはないと判断し、離れていく人も多かった。
そんなデバフマシマシの中、第2グループが始まる。ここで、ユニークとかの変なものを引くことができれば大儲けだ。出ていく人の足を戻すことができるだろう。その結果は、ということはなく、事前にダンジョンに潜っていたようだ。ぐだぐだと1階層でするよりも2階層で行う方がいいと判断したようだ。
自己紹介ついでにここにはユニークやレア職のような存在はいないと告げられるのだった。早速2階層に向かい、ダンジョン探索をするのだった。・・・このグループはいつから結成されていたのだろうか?2階層に行くともなれば、短く潜るのであれば2日か?学生もいることから、土日程度しかない。それなら、1週間くらい前に結成されているはずだ。
タンクは存在しているようだ。新しく始めた人がタンクだったようだ。その人がゴブリンの攻撃を受けるために前進をする。そのすぐ背後に少し間隔をあけてアタッカーの人が進む。10歩程度離れたところに魔法使いがボール系の魔法を用意している。連携の練習はしていたようだ。
タンクが攻撃を引き受け、その直後にアタッカーが加速しゴブリンの横に回り攻撃をするのだった。残る2人は片方が生産職業でもう片方は、その2人の守護に入る立ち回りになっている。見るのならこっちの方がいいだろう。そして、ハイタッチをしている。どうやら初めての挑戦だったことは正しいようだ。
ある程度の戦術を頭に入れてからの戦闘だ。ピンチになった時にアドリブをどう出すのかで生死が決まりそうなところだな。そして、数体のゴブリンを殺し、戦術が通用することを確認すると次の階層に移動する。コボルトとの戦闘に行こうとしていた。
そして、敗退だった。タンクがスピードについていくことができないという問題が発生した。そのため、怪我をする可能性があると判断し、撤退するのだった。その後はゴブリンを殺しつつ、コボルトを殺すための戦術を話し合いし、2時間の配信は終わった。
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