第992話
25階層のボス部屋だ。他のオークがいる階層よりも少ないが、最近のオークションによりその価値が見直された。値段がバカのように上がっている。そのキノコを求めて人々はこの階層にやってきたようだ。高級料理を作りたいがために、その素材を取りに行くようなものだ。
25階層のボスのウォークマッシュだ。ムキムキと通常の小さいやつどっちが現れるかな?ムキムキなら味が濃厚で出しも取ることができる。通常ならドロップの数が多い。果たしてどっちだ?順番が回ってきたため、ボス部屋に入る。
そこにいたのは足だけが異様に発達したウォークマッシュだ。全身がムキムキになったやつなら、顔ができ等身が上がる。小さいやつならムキムキに比べて小さくなり、攻撃力がなくなると言った感じだ。今回のやつは、異様に足が発達し体の部分は小さいまま、これがウォークマッシュの正式な進化なのかもしれない。
「変態キノコ・・・」
「変態だな」
納得してしまった。その鍛えられた足に付けられているのは網タイツだ。ここのダンジョンの制作者の性癖がだんだんわかってきたような気がする。そして、足には網タイツで靴はハイヒールだ。あの尖った先で攻撃してくるのは痛いだろうな・・・。
「あれが、ウォークマッシュ?」
「いや、違う・・・と思う」
今まで出会ってきたやつがレア個体なのかもしれない。名前の通りの進化であれば、足だけが発達しているはずだ。けど、流石におかしいとは思う。裸足になるはずだ。あの網タイツとハイヒールは装備されていないはず・・・。
高さもおかしい。あのムキムキのウォークマッシュと同じくらいの大きさの足だ。なんか、毛が生えていない美脚で少しムカつくな・・・。
王子が攻撃を仕掛けに行く。どうすべきか。成長を見るために見守るべきなのか、参戦すべきなのか。助けを呼ばれるまでは見守ることにするか・・・。王子の振り払った剣は、網タイツに阻まれ無効化されてしまった。物理攻撃の無効化または軽減だ。
そのまま足を振り払うことで吹き飛ばす。剣を地面に突き刺すことで、後ろに飛んでいく反動を逸らしながらあのキノコを警戒する。ダ、ダ、ダと大きな一歩で詰め寄り、足を大きく振りかぶって蹴りを入れる。まるでサッカーのシュートを打つような感じだ。
お前はボールだと言われているようだ。横に避けることで回避をしていた。あの吹き飛ばす時の蹴りよりも、ためが長かったことで避けることができた。衝撃波が飛んでいき、木の幹に穴を開ける。腕と足の力の差は2倍以上あるとされている。だが、流石にこれは差が大きすぎやしないか?
置き球だ。地面付近にライトボールが置かれており、それがキノコの頭を目がけて飛んでいく。だが、バックステップをとることでその魔法は空振りに終わった。そして、ハイヒールの先を王子の方に向けた。
ガコンッとその先端に穴が開く。放たれたのはレーザービームだ。一直線に放たれたそれは、警戒していた王子に避けられるが、背後にあった木を貫き奥の方で爆発を発生させるほどの威力だ。空気の吸引が始まる。ゆっくりと風が吹くなか、吸収されていくのはキノコの胞子だ。キノコの胞子が電池代わりだったようだ。
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