第1001話

 変態どもの集まりだ。蝋人形を破壊しても回収されるのなら、壊した瞬間に反対側投げるしかないか?それが1番効率が良さそうだ。もっといい方法があるな・・・。土魔法をところどころに設置をする。魔法が使える個体は、蝋人形が壊れる機会を窺うためにずっと俺の近くを通る蝋人形を見ているようだ。


 設置していた魔法を発動させる。発動させたのはアースバインドだ。体の足が拘束され、拘束されなかった手を動かしながら引きちぎろうとしている。そして、拘束されたことを見るや一目散で、オークたちが走り出そうとしていた。それに合わせてアースランスを作り出す。


 オークたちが数歩踏み出した時だ。女王が鞭を地面に叩きつける。その音を聞き、興奮が一瞬で覚めたようだ。そのまま元いた場所に戻っていく。冷静な判断だ。トラップを複数個用意していたのだから、死ぬ前に迎えに行けば巻き込まれて拘束ができていた。戦術を立てることができるようになったのか、それともトラップを警戒していたのかのどちらかだ。


 作り出したアースランスを足が拘束されている蝋人形に飛ばす。地面に当たると同時に、地面に溶け込んでいく。そして土操作で磔にした。もちろん、両手を伸ばさせるために十字だ。拘束されている両足は柱になっている部分で隠し、上半身はその柱から出ている。手首や関節を拘束することで、解くこともできない状態にした。


 高めに設置したため回収もしにくいはずだ。しかも柱には魔力がしっかりと篭っている。破壊するのに時間がかかれば、その分魔力や気力も使ったことになる。回収されてもされなくてもどっちでもいいと言った感じだ。


 動くことができないことを確認するとすぐに操作を切り、別の蝋人形を作り出す。これで使えるのは9体だ。おそらく、全部のオークが睡眠系の状態異常の耐性か、風魔法を持っているのだろう。そうでなければ、この蝋燭の睡眠効果を受けているはずだ。


 攻撃として使ってこないことを見るに、状態異常だけを防ぐためのスキルレベルが低いものだろう。3体目の磔が終わる。残り7体だ。地面にいるのも合わせて10体だ。女王までの隙間が空いている。そこに斬撃を放とうとしていたが、すぐに盾を持っているオークの後ろに移動する。やりにくいな・・・。


 オークたちが参戦してこないまま、残っていた10体の蝋人形の磔が終わった。未だ向こうのオークにダメージを与えることはできていない。筋肉もりもりになる鞭は俺が奪っているのだから、バフも自身の力なのだろう。女王が蝋燭を投げ捨てた。


 魔法を使うオークが鎧を脱ぎ捨て、背中を俺に見せる。魔法を使おうとしたが、その間に盾持ちが入りアーツを使うことで透明の膜で包み隠す。魔法はもう通らないか・・・。助けているためその内部が見える。どうやら女王がドMをいじめているようだ。他のオークも鎧を脱ぎ出した。


 そして、盾を持ち魔法を防いでいるオークの鎧も脱がす。その盾を構えている背中に鞭が走る。地面に血が落ちる。戦士って背中の傷は、恥じゃないのか?攻撃を喰らったことでビクッとしていたが、なんとかアーツを保ち続けている。普通にこれ戦犯級だろ・・・。下手をすれば、このままアーツを解除されてもおかしくはない。


 いや、アーツを維持することに信頼していると表しているのかもしれない。そんな表現の仕方は嫌だ。

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