第1002話

 鎧を再び身につけ、動けるデブに大変身だ。アーツも鞭を受けるまではヒビが入っていたが、受けてからはそのヒビが消えていく。出ている腹は上下に動き続けるだけだ。5体のオークの内訳は、女王と、盾、剣2体、魔法だ。


 属性は風だ。わかりやすくて助かる。肝心の女王は、何をしてくるのかだ。前回戦った時には、何もしてこなかったはずだ。後衛でずっといて、最後の1体になった時に攻撃をしてくるという舐めプを醸していた。そして、今回も遠距離で攻撃してくるのは変わりない。だが、ずっと口が動いている。


 詠唱?詠唱にしては魔力の変化が見られない。なら、指揮をとっているはずだ。


 真っ先に女王を潰そうとアースランスを作った。だが、飛ばした瞬間に横からウィンドランスが飛んでき、破壊されてしまった。魔法の警戒はされているか・・・。蝋人形からまだ煙が出ている。他の召喚獣を出しても意味がない。


 スケルトンを強化してからくるべきだったか。剣を持ったオークが攻撃を仕掛けてくる。剣を受け止め、一瞬力を抜くことで剣を受け流す。その横に避け、地面に倒れ込むのをかわす。とりあえず、威力チェックだ。これで攻撃が通るのなら、首を直接狙いに行ってもいいという感じになる。


 その腕に刀を振る。ステータスが上がっているため、オークの骨の部分で止まってしまう。すぐにその刀を引き抜き、距離をあけた。迂回してきたもう1体の剣を持ったオークが俺に攻撃を仕掛けてきていたためだ。回ってこなければ魔法で焼き殺すつもりだった。


 俺に攻撃を仕掛けてくるのはこの2体が基本となり、女王の護衛として盾持ちと魔法を防ぐための魔法使いがいる。うざいな。前衛を無視して、女王に攻撃をするために近づいても盾持ちが受け止め時間を稼ぐ。そして、剣持ちが追いつくと言った作戦だろう。


 まずはあの2体を殺してからなりそうだ。ステータスと共に再生能力も上がっている。骨までいく傷でも、刀でつけた傷は補足鋭い。再生時間は短いだろうな・・・。骨を折ればもっと時間がかかるが、そこまでタコ殴りにできるとも思えない。


 少し横に動き、あの女王の視界に入らないように移動をする。そして、アースランスを腕を切った方のオークに飛ばす。当たる瞬間にその先端が膨らみ、5本の板になる。それがからみつきながらオークを押し倒す。ゲームであるような人間の頭が開いて攻撃をしてくるような感じだ。


 拘束が完了した。とりあえず、その鎧の除去からだな。拘束が完了してからドンッと鈍い音がなる。ここからがこの魔法の本番だ。拘束をしたところはランスの先端から護拳(バンプレート)の部分までだ。握り(グリップ)が鎧にぶつかった音だ。握りが回転を始める。


 ゆっくりと押し込みながら回転を始め、少しずつ握りが小さくなっていく。残っている剣持ちの1人は俺の方に攻撃を仕掛けてくるが、避けながらその魔法を進めていく。焦りからくる攻撃の単調化だ。見捨てることができるのであれば、落ち着いて攻撃をすることができるだろう。


 仲間意識が強いようだ。流石は変態同盟と言ったところか。握りが擦り切れるのが先か、貫通し体の内部を破壊するのが先か。


 鎧を脱いだことから、鎧にバフはかかっていないと判断したのは正解だったようだ。回転の加速が増し、トップスピードになる。召喚してから全く使っていなかったカースウエポンを動かすときだ。この実験を止めさせないために、後衛にこいつらを向かわせる。

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