第1000話
その後、ゴーレムを殺して金曜日が終わった。土曜日は王子が家の用事とのことで休みになり、1人でダンジョンにやってきている。次の階層に行きたいという気力もなく、何かがとても欲しいとも思えない。することはレベル上げだけだ。
白狼の水魔法は、ここ2週間使うことができていない。先に白狼のレベル上げだ。それと同時に俺の職業のレベル上げもしたい。そんなわけでやってきたのが、30階層のオークナイトだ。まずは1回目だ。ここの戦い方次第で気分良く、その日のダンジョンを潜ることができるかどうかが決まる。
その1回目の時だった。少し順番待ちをし、そのボス部屋に入った時にやつはいた。あの女王様オークだ。まただ。前と同様に後ろから脱出することもできなくなっている。本当に前回と同じ個体のようだ。俺の顔を見た瞬間ニヤリと微笑み、舌なめずりをする。ゾワッと体が震えてきた。
前回と同じように鞭を装備している。それだけではない。その反対側の手には蝋燭を装備していたのだった。しかも服装はドレスに女王様がよくしている目尻の方向に変形しているサングラスだ。俺が強くなってここまできているのであれば、他の魔物も強くなっていても何にも不思議ではない。
前と同じように考えるのなら、特殊武器の類だ。蝋燭が武器かは置いとくとして、鞭の方は前よりも凶悪になっている。先端に棘がついているのはもちろんのこと、鞭に刃がついている。椅子になっているオークから、立ち上がりそのオークを蹴る。そしてポケットから葉巻を取り出し、魔法を使うオークに火をつけさせていた。
何を見せられているのだろうか。葉巻を吸うのであれば銃を使えよ。その葉巻の燃えているところを、蝋燭に押し当て蝋燭が燃え始めた。そして振り回し蝋が地面に落ちる。蝋がプルプルと震え出し、急に体が膨張し大きくなる。なったのはオーク程度の大きさの人型だ。そのろうに鞭を打つ少し蝋を飛び散らせながら、背中に傷が入る。ドSなのは変わりがないようだ。
称号ドS:ドMを殴ることで全てのステータスが増加、その他のものを攻撃することでもステータスが増加
ドM:ドSに殴られると全ステータスの増加、攻撃されると防御とHP回復の効果を付与
火魔法を当てたが燃えることはなかった。弱点である火魔法の耐性がついているようだ。それか、前戦った時のように、バフが付与されているのかのどちらかだ。魔法防御のバフを突破するのはめんどくさいからな・・・。
足元からは少しづつ煙が発生している。その発生源は蝋人形だ。4足歩行のため頭の位置が低い白狼はその煙を吸い、眠らされてしまった。安眠の効果を持ったガスだ。少し甘めの匂いがすると思っていたが、この匂いだったとは・・・。
抵抗されずに捕まえるのに適した方法だ。コレクションとして人間を集めるタイプだと見た。椅子になっているオークや魔法を使うようなオークは何もしてこない。させないというのが正解か?眠る効果がついたガスか・・・。
カースウエポンを召喚した。アンデットならそういう状態異常は効かないだろう。どの属性が弱点か探る必要がある。ウィンドランスは削る程度で、ウォーターランスは効かない。後ろにいる女王を狙った方が早そうだ。
こういうのは、使い手を殺せば全員消えるだろう。蝋人形が武器を持っていないのが救いだ。リーチを図りながら、全部避け戦うのはきつい。至近距離まで近づかないと攻撃がされないため、近づかれているのに気がつかないことは起きないだろう。
刀で蝋人形の腕を破壊する。なかなか残りのオークから攻撃を仕掛けてくることはないな。とりあえず1体を殺した時だった。再び手に持っている蝋燭を振り撒き、1体の蝋人形を作る。どうやら生成数の上限があるようだ。
殺さずに生きているか、死んでいるかの瀬戸際をつくか。右腕と右足を切り落とすことで、バランスが取れなくなり地面に倒れ込む。これで1体の枠が埋まったはずだ。蝋人形は立ちあがろうとしているが、もがいているだけで立つことはできない。
だが、動きが止まった。それと同時に新たな人形が作られる。オフにするのはできるようだ。だが、少しずつではあるが蝋燭が縮んでいる。回数制限付きだ。残りは10回といったところだ。やっと敵のオークが動き出した。
刃がついていない別の鞭を用意し、そのオークを引っ叩く。にっこりと頬を染めている。そのタポタポの腹を動かしながら向かってくると思いきや急に右に曲がり蝋人形の足を回収する。そして、片足を地面に着き献上する形でその蝋を差し出す。
よくやった、そう言っているのだろう。その蝋を受け取り、蝋燭に近づけることで吸収した。全部集められると蝋燭が復活する仕組みのようだ。そして、持ってきたオークに思いっきりビンタを当て吹き飛ばす。他のオークは羨ましそうにそれを見ているだけだ。
本当に羨ましかったのだろう。血眼になりながら、蝋人形の回収の機会を窺っている。
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1000話達成!
いつも駄文を読んでいただきありがとうございます。
1000話記念はギャグで行きたいと思います
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