第204話

「ワー!!」


 そんな歓声が上がっている。そしてどちらもスタミナが切れているので、肩で息をしている。どちらも退場をしなければならない。だが、魔法使いの方は普通に帰っていた。だが、2属性魔法使いの方はじっと俺の方を見ている。何かいうことでもあったか?そう思いながら、記憶したカンペや進行の仕方を思い出す。思い出したが、そんなことは一切ない。


 何がして欲しいのかもわからない。まさか賞賛?戦っていない人に賞賛をもらってもだしな・・・。何かあれば行ってくるか。去年も何も言われることなかったし。ステージから降りてすぐに


「ヒール」


 二人に回復魔法をかけた。魔法使い同士の戦いなら魔術師の方も召喚しておけばよかったな・・・。二人とも俺を見ているが別に変なことしていないしな・・・。


 次の試合に行こうか・・・。えーと次の試合は・・・。剣と槍か。事前情報から見るに幼馴染で、同じパーティーにいるようだ。しかも、全てのメンバーがこの学校にいる。といった、本当に幼馴染だけのパーティーだ。性格はもちろんのこと戦い方も熟知している。そのため、戦闘は泥試合は確定だろう。どちらが相手の意表をつくことで勝負は決まるが、それもできにくいだろう。隠れて魔法を練習しているとなれば話は別だが、そんなこともないだろうし・・・。


 さらに問題はどちらも直感型なことだ。武器が壊れると殴り合いといった脳筋的な思考になるのかもしれない。止めるまでがめんどくさそうだ。


「はー・・・。」


 そんなことを考えため息を吐くが、始まってしまったものはもうどうすることもできない。いざとなれば、強制気絶コースだ。勝者だけをそのまま上がらせることになる。名前を読み上げた。そして、リング付近に集まると握手をしている。それには観客たちも盛り上がっているようだ。


 そして戦闘が始まろうとしている。開始の合図が出た。どちらも急いで詰め寄り、武器が青く光っている。アーツを使うのか・・・。魔力や気力を込めたなら、色がつかず光るだけだ。だが、アーツを使うなら青く光る。そんな特徴がある。だが、基本モンスターはアーツを使うという頭がない。


 モンスター相手に使っていれば早死にすると俺は考えている。気力を使うとそれみたいなものをすることもできる。さらに動きがぎこちなくなってしまう。強制的に体を動かすことになるので、攻撃を行った後には体が動かしにくくなってしまう。まるで誰かに操作されているような感覚らしい。


 避けられた時の対処法がないことだ。攻撃の狙いを決めることができても、その後避けられるとただの隙を作っただけになる。この勝負は気力がなくなるか、どちらがこのことに気がつくのかの差だろう。

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