第822話

 腕にまとわりつけていればすぐに同じことができる。魔法や矢に対処している方も動かすか。分身体A(矢を対処している方)を下側からまっすぐ進ませ、分身体B(魔法を対処している方)はシールドを使い空中から近寄る。


 腕についている魔力を鎖のよう変化させ、攻撃というよりかは近くに寄せる準備をしている。槍持ちの方は、分身体Aに向かっているところだ。どうやら空中に上がってしまったがために距離の差が生まれ、優先順位が偏ってしまった。


 矢と分身体Aの間に槍持ちが入り、槍を突き出す。分身体の右手を回し鎖で螺旋状に作り、それを槍に当てた。鎖の先端は棒のところに行き、残った鎖は槍に絡みつく。(説明難しい)鎖と分身体をつないでいるところがピンッと張られた。この状態になると、一本の棒を取り合いしているような感覚だ。


 そして、その右手を地面に叩きつける。槍持ちのオークの体が宙に浮く。ナイト個体が俺から目を離してくれない。離してくれればそのまま援護でとどめだった。このままでも終わりだ。そのまま、訳わからず地面に叩きつけられて死ねばいい。


 んー。そう上手くはいかないようだ。オークが槍を握っている手を外した。分身体に命令を出し、それを奪い取らせる。奪い取ると同時に構え、投げさせた。鎖の位置は、槍先からいつでも回収ができるように棒の先端にまで移動している。


 簡単に避けられるよな。鎖を出し続ける位置を足下に切り替え、もう1本槍を飛ばす。本命はこっちだ。槍持ちのオークは、自身の槍を取り戻したく分身体Aを視界から外している。


 矢が放たれ、飛ばした槍が破壊された。狙いは背中を向けている魔法使いだった。その前に、移動している弓のことを忘れていた。破壊されたのだからまずは槍オークからだ。足から手の位置に戻し、飛ばした槍を空中に持ち上げながら引き寄せる。


 矢が時折飛ばされてくるが、それは分裂も何もしてこない。ケンタウロスの下位互換だ。鎖を飛ばすだけで無効化できる。持ち上げた時に槍を持つ位置を変更し、中央に持ち替えた。そして下を向くように形を切り替え、落下させる。少し遅れるように左手で鎖を出しながら横に靡くことで判断を絞る。


 上ばかりを見ているオークにとってはこの方法がベストだ。避けたことで目の前に突き刺さる槍、その棒の部分には分身体の魔力で覆われており耐久値が上がっている。そこに薙ぎ払われた鎖がひっかり先端が曲がりながら槍オークを拘束する。


 槍が手に戻るという油断からきた行動だ。分身体が死んでも俺に影響がないことから大胆に行動することができるんだけどな・・・。これを俺ができれば・・・。槍をコーティングしている魔力が抜け、形を作り直される。同じような擬似的な槍だ。2本の槍がオークの頭に突き刺さり死んでいく。


 これで残りは3体だな。頭に刺さった瞬間に鎖は戻され弓矢持ちの方に動き出す。

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