第973話

 と進んでいると落とし穴を見つけた。石を蹴りトラップを作動させる。こう言うのって、次の階層に進んでいるのがほとんどだよな・・・。そう思いながら、落とし穴を覗き込む。だが、その考えは杞憂に終わった。なぜなら、そこにあったのは深い穴ではなく、クッションが置かれていた。


 なんというか、バラエティーのドッキリでよくあるやつだ。流石にまだ殺しに来ていないか。即死系にするのなら、睡眠ガスや毒ガス、下に槍を設置するとかモンスターハウスにする。そんなトラップを容易に想像することができる。


 モンスターハウスならありがたいかな?経験値とドロップが美味しそうだ。落とし穴で細道を見つけたりとかないのかな?その前に落とし穴からの脱出方法ってなんだ?地面が盛り上がるようなスイッチがあるのか、数秒拘束されて、その後落とし穴の外に放出されるのか?


 落とし穴に落ちた瞬間、スタート位置に戻るのでもよさそうだな。デスポーンならぬ、落とし穴にスポーンだ。そんなことを思いながら、落とし穴に入ってみた。結果、脱出方法は自力だった。縄が必須になってくるな・・・。


 そのまま、右角のほうに進んでいくと、宝箱を見つけた。もちろんミミックとか擬態しているものかどうかは鑑定をかければ1発だ。鑑定をかけたが普通の宝箱で、トラップも何も入っていないようだ。だが、鍵がかかっているようだ。魔力形質変化で液体に変え、鍵穴に流し込み硬化させる。


 それを回すことで簡単に開いた。ピック道具なんて必要ない。スライム金属でも代用可能だ。というかそっちの方がいいだろう。開いた時にトラップがあるパターンってどう対応すればいいのだろうか?毒は効かないし、気にするのは飛び道具だけだな。


 ・・・後ろから開ければ問題ないな。宝箱の持ち運びもできる。おそらくこれも時間経過で消えるものだろう。トラップの生成時間だな・・・。発動してからすぐに閉じて開いた時にトラップが発動するなら、遠距離攻撃や状態異常の攻撃手段が無料で手に入る。


 ある意味バグだな。移動できるものの上にくっつけて、スライム金属で固定して引くようなことができるようになれば、殲滅兵器の完成だな。移動式宝箱殲滅機とでも名付けておこう。うまくいけばこれを作ってもよさそうだ。


 その宝箱の中身は縄だった。もっと早く見つけておけば、わざわざ落とし穴に落ちる必要もなかった。何も考えずに落ちた人ってどうするんだろうな?一応縄の装備は基本中の基本とされているから大丈夫だとは思いたい。あと、落とし穴の中に白骨死体の模型を置くドッキリでも仕掛けたいな・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る