第913話

 1回殺しては、その仮面から光がなくなり、ヘドロが出てくる。この作業を繰り返していたが、長い、長すぎる。作業の効率化のため、コボルトを召喚していた。だが、それが裏目になった。ヘドロを出している間に攻撃するため、召喚していたコボルトは囮だった。予想通りゴブリンの形をしたヘドロがコボルトを襲う。


 そこで戦闘をしてくれれば良かった。だが、そのヘドロはコボルトの顔にまとわりつき、視界や思考を奪い取る。そのコボルトからは力が抜け、だらりと抵抗していた腕が下に落ちる。そのままの足でヘドロを出したオークの元に行き、空中に持ち上げられる。召喚を取り止めようとしていたが、どうすることもできない。


 空中に持ち上げられている体は引き裂かれ、オークの体に降り注ぐ。それと同時に仮面が1つ復活した。慌てて召喚欄のところを確認したが、その姿を確認することはできなかった。一応レベルを上げているコボルトだったため、ショックは少しある。


 あのいつものメンバーでない分だけまだマシだな。とりあえず確実に葬り去ることから始めないといけないな・・・。中途半端な雑魚は召喚できないため、いらない。近づかずに遠距離で闘う方がいいだろう。


 もし近づいてヘドロになったときには俺も取り込まれて死ぬだけだ。魔法で焼き殺す。殺したと同時に新たな影として先ほど吸収したコボルトが現れる。もう仲間ではない、敵だ。迷わずに殺す。1番の敵は同情と仲間意識だ。そこにさえ気をつけていれば、不意打ちなんて食らわない。


 魔法で殺していくこと、10体分経過した。生半可な気分でこの階層に当たってしまうと確実に死ぬだろうな・・・。魔力切れか、スタミナ切れで死ぬのだろう。最後の1体を殺したときだった。その取り憑いていたオークの体全てが黒いヘドロに変わり、俺に襲い掛かろうとしている。


 だが、それは中途半端な形で終わった。鳥居のように立てられていた、柱が輝きを取り戻す。神のご帰還だと言わんばかりだ。さらに奥にある神社も光出す。その光によって、ヘドロは消え去った。そして、肝心のドロップはオークがつけていた般若の面だ。


 魔力と筋力増加が付与されたお面だ。その下には、精神支配(封印中)と書かれている。精神支配の結果、憑依されあんな姿になるのだろうと予想することができた。その上の神社には何があるのだろう。そう思い上の方に上がっていくと1冊のスキルブックが置かれている。


 その名前はちくわ大明神の加護というものだ。そこから後ろを振り返ってみるとわかってしまった。あの最初に鳥居かな?と思っていた柱は全てちくわの形をしている。そして、ちくわ大明神の加護の効果は、ちくわ大明神チェレンジに成功時に全ステータス増加するようだ。


 1回成功ごとに+1%だ。最大は10回のようだ。失敗するとリセットされる。ちくわ大明神チェレンジとは、会話の途中にちくわだ明神と言い反応されると成功で無反応だと失敗だ。そしてやらせは失敗扱いだ。もう、ゴミだろ。


 使わずに封印するスキルのその1だな。

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