第826話
魔力をしっかり込めたことで、30分程度は持つだろう。窒息死までには十分な時間だな。繋いでいる鎖を切り落とし、狙いを魔法使いに絞り直す。魔法使いだけはさっさと仕留めたかった。今回は、弓がいない代わりに魔法使いが2体いる。攻撃した物にまだ魔力が残っているのでそれを再び操作し、攻撃に出る。
一度見た攻撃だ。さすがにバレていたのだろう。動き出した瞬間、それに魔法が打ち込まれ破壊されてしまう。破壊されることが大前提だ。破壊されたものを集め。巨石を作り出しそれを飛ばす。魔法使いの方は片方が周りの地面を警戒し、もう一方は小さいファイヤーランスを作り出し破壊した後に飛ばされてくる礫を警戒していた。
礫ではなく、大きくなった岩だ。そんな小さい数だけの魔法で破壊できるわけがない。残っていた盾持ちが走り出し、魔法使いの間に入り岩を受け止めるつもりだろう。狙いはそこではないけどね。
周りを警戒している魔法使いの足を地面から飛び出た鎖が拘束する。警戒するために動きを止めてくれて助かるよ・・・。おかげで捉えやすかった。仕組みは簡単。地面に液として沈ませ、すぐに硬質化させる。
土操作で持ち上がったことにより、近づいて下を覗かなければ底にある鎖を見ることができない。奇襲は成功し、足から拘束が始まる。と思っていた。引っ張ろうとしても、もう鎖が離れることはない。解除できる可能性のある方法2つある。1つ目は、内側から攻撃することで破壊することだ。
今は外部からの攻撃の対策をしているため、外は固く中は柔らかい状態だ。スライム金属を使い、人間ハリセンボンとかになれば解放されるだろう。この時にスライム金属が中に入いればという話だ。そんな金属をオークが持っているわけがない。
2つ目は、過剰な魔力の放出だ。拘束されているところから、魔力を出し中和する。そうすることで、魔力の維持が難しくなりその隙に脱出することができる。魔法使いが取れる行動としては2つ目だろう。落ちてくる石に巻き込まれて死ぬか、盾持ちが守り切るかのどちらかだな。
無駄なのに、小さい魔法を撃っているあの魔法使いはなんだ?馬鹿なのか?馬鹿なんだろう。あっ、盾持ちがそのオークを見放した。もう助けることを諦めたようだ。助ける対象を、拘束されている魔法使いに変更する。
岩から守る時に間に入った時よりもスピードが早い。どうやら気力強化もフルで回し始めたようだ。火事場の馬鹿力か?この階層のオークが気力強化とか使えるはずがない。使えるならナイト個体だ。片手の鎖を対処しているため、足止めはできている。
俺の妨害や仲間への手助けなんて行かせるわけがない。魔法使いと合流した時には膝関節まで、拘束が進んでいる。盾で殴っても壊れることがない。諦めてどっちも見殺しにしろ。と思ったが、短剣を盾の裏から取り出す。
深呼吸をすることで再び集中し、気力操作で剣を強化する。そして、まだ拘束されていない太ももを切り落とした。その片足がなくなったオークを背負いながら、その降ってくる岩石から脱出する。だが、あの頭の悪いオークは死んでしまった。これであと3体だ。どちらかといえば2.5ぐらいだな。動けないお荷物に、気力が限界を迎えていそうなオーク、そして攻撃を受けていないナイト個体だ。
とりえず魔法使いからだな。岩が落ちたところに、魔法使いを置き俺の方を向く。まあ、そんなことをする余裕があるのか?という話でもあるな。岩の中から鎖を飛び出させ、その魔法使いの体に尖らせた先端を捩じ込み。回転させる。バランスを崩したことによりうつ伏せで地面に倒れる。
地面の中にある鎖を、オークの真下に移動させ鎖を持ち上げ、魔力の容量を上昇させた。顔を上に上げ何か叫ぼうとしているその口を塞ぐ。顎の下から、飛び出させ歯を折る。口の中に入れていたものを抜きとり、顎を下から鎖で、頭のてっぺんと結びつけることで、話すことができない状態にした。
盾持ちはどうやら、まだ魔法使いが生きていると判断したようだ。2対1の戦いが始まる。魔法使いを頼った時にできる隙が弱点だな。頼る瞬間と、死んでいるという情報を手に入れた瞬間。この時、確実に動きが止まるだろう。
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