第531話

 総仕上げだ。残っている分身体を出せるだけ出す。盾をどっしりと構えている。カウンター型のようだ。そんなことはさせないけどね。地面から、アースピラーを生やし空中に飛ばす。自分からバックステップをしていたので、衝撃は外に流れてしまった。


 盾を地面に叩きつかながら、地上に落ちる。奇襲を仕掛けにくいなー。動かないなら、俺から仕掛けるしかないよな。ナイト個体を中心に土魔法で囲む。そして、その囲いから小さくした棘を飛ばす。


 小さいため威力は低い。金属の鎧には傷は付けられないだろう。だが、切り傷を与える程度はできるだろう。俺の狙いは関節といった金属を使われていない部分を攻撃するためだ。小さく丸くなれば、土の棘から攻撃を防ぐことはできるだろう。


 だが、その次の攻撃には対応することができない。攻撃しようとしても、そいつが今どんな状態なのかわからないのがダメなところだな。ギャグ漫画のような地面を掘るといった脱出方法をしてくるのかもしれない。


 土魔法を解除と同時に攻撃をしようとしても、そこにいなければ意味はない。中の状態がわかればいいんだけどな・・・。分身体をそいつを囲むようにだし、ファイヤーストームとウィンドストームの準備を始めさせた。


 そして、上側の土が落ち解除する。それと同時に用意された魔法が放たれた。ウィンドストームとファイヤーストームが合体し、熱を帯びた竜巻に変わる。体を削りながら燃やしていく。そこにアースボールを追加していく。


 裏技みたいなものだ。俺が使っている魔法はない。使っているのは分身体が使っている風と火だ。そのため、俺は他の属性を使うことができるのだ。金属と硬くなった土がぶつかる音が聞こえる。たまに黒板を爪で引っ掻いた音がするので耳に悪い。


 魔法の意地ができなくなり、どんどん分身体は消えていく。竜巻が消えた。そこにいたはずの万全の状態だったオークは見る影もない。盾は凹み、身を守る鎧は切り傷と共に少し変形している。肝心の頭の毛はなくなり、ツルツルだ。


 目元に火傷ができ膨らんでいる。痛そうだなー。すぐに殺してあげるから安心しなよ。分身体が動きを封じている間に出していたファイヤーランスを落とす。脳天からつき刺さり、体内に入ると同時に体がその負荷に耐えきれず爆散する。その爆風が髪の毛をたなびかせる。


 ちょっと風が熱いな。体の肉片は鎧のおかげで飛ばなかった。頭の方は灰になり消えている。金属の部分が地面に落ちる音が部屋中に鳴り響く。完全勝利ー。動きが早くなくてよかったよかった。


 早ければ強引に足止めから出て、攻撃をしてくる。それがないとわかっているだけで戦闘が楽になる。短剣を使っているやつの場合は、どっかのタイミングで投げてくるかもとか考えないといけない。盾ならそんなことを考えずに戦うことができて楽だなー。

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