第210話

 ステータスのHPが少なくなると、人間は気絶する。そのため、毒でも殺すまではいかず気絶を最初にする。その際に止めることができれば俺の勝ちだ。両者入場する。魔法弓と錬金術だ。即死毒はないとして、麻痺、眠り、幻覚、毒この辺りだろう。対人戦において一番強いのは麻痺だろう。絶対に効くと考えるとこれが一番強いと思ってしまう。


 前と同じように魔法弓が入ると、声援が上がるが今回は女子だけではなく、男子の声援も加わっている。おそらく、意志をついで優勝してくれとかだろう。熱血漫画かな?反対に錬金術が入ると、声援がピタリと止む。おそらく、その見た目からだろう。無性に伸びた髪だ。そのせいで不気味だ。というか近づきたくない。


 顔全体を覆い隠すほどの伸びた髪によってその表情もわからない。これから関わらないと考えると気が楽だ。果たしてどんな毒をどう使うのか・・・。投げるというのはわかっている。その飛距離や投げるタイミングだ。これを失敗すると、自分までもその毒に当たってしまう。しかも相手は、弓で遠距離だ。今使っている魔法は火ということだけはわかっているが、それ以外はわかっていない。複数の属性を持っている可能性の方が高いので、それを対策しなければ勝ち目はないだろう。


 ちらっと、その錬金術師の顔が見えた。その顔には黒く光ったものをつけているので、おそらくガスマスクだろう。用意周到だな・・・。自分の攻撃に当たらないように対策はしていたようだ。毒への対策と言っても、耐性を得るためにはその毒を少しづつ取り込むことで耐性を得るしかない。それでスキルを生やすか、耐性のスキルブックを手に入れるかのどちらかだ。


 どちらも金がかかるが、まだ毒を取り込む方が金が少なくて済む。リングに上がった時には、手に毒ですよと言わんばかりに紫色に輝いている瓶を手に持っている。それを腰にも数本持っていることから近づいてくると、それを壊して当てるつもりだろう。


 面倒くさい試合だが、俺には効かないので問題はない。問題があるとすれば、こいつが上がった場合明日も俺が審判をすることになる。それぐらいだ。そんな理由のもと負けてほしいところだ。


 魔法弓の方は、気合を入れるため、長い髪を結び直している。その時にきゃーという声が上がっていたが、高い声ってなんであんなにうるさく感じるのだろうか?その後弓を構えてこちらも準備オッケーです。とのことを目で合図を出してくる。


 スタートしますか・・・。旗を振り下ろした。

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