第1033話

 マジックバッグが何も変化なかったようだ。これには安心できた。と言ってもビニール袋に入れた瞬間赤色に変わるのは許せなかったけど・・・。赤から何も変化がないということは色を合わさって変色したり、上書きされたりすることはない。


 あの羽根を保存するのなら、変色した袋に入れておく方がいいな・・・。鶏肉を十分に集めるためにコカトリス狩りは続く。1つのバグを生み出すことができた。それは、確定ドロップの法則だ。コカトリスからドロップする色付きの羽の合計は赤色が圧倒的に多く、その次は脱色用の白色の羽だ。


 その赤色の羽根をコカトリスに当てると、その羽毛の色が赤く染まる。その状態で殺すと確定で赤色の染め上げる羽根がドロップするようになった。1つ使うことで2つの羽根がドロップする。1つのプラスだ。これを繰り返すことで無限に複製できる。


 この羽にも使い道があるのかもしれない。シールドにこの羽根を当ててみた。すると、通常であれば透明なシールドが赤く染まってしまった。これなら使うことができそうだ。不可視のバリアのようなものを使う相手や、透明になることができる相手がいれば、この羽で無理やり着色することができる。


 他に対処するなら、水魔法を当ててから砂を体につけさせるとかの方法があるだろう。イカ墨をかけても良さそうだ。新品のまま放置されているイカ墨のかき氷ソースが残っている。その時にならないと役に立たないな・・・。


 鶏肉が十分手に入る。それと時間がもう夕方になっている。ダンジョンから外に出て、ぼーっとしながら魔石とイルミネーションの換金を待つ。冬になっているため、外が暗くなるのが早くなる。真っ暗の中帰るよりはいいだろう。


 これでもう終わりでいいだろう。鍋を食べたいと思っていた。去年は豚肉と鶏肉の肉マシマシの鍋だ。親にその鍋の写真を送った時には、野菜を取りなさいと言われてしまった。その反省を活かして、ネギ、白菜を購入した。そして、締めの冷凍うどんだ。豆腐も買おうと思ったが味が染み込むまで時間がかかるため放置だ。


 スマホを見ると、メールが1件入っている。了解です。という返信だ。明日も王子は休みになっているようだ。出汁に薄口醤油、ウェ◯パー、水を入れ軽く沸騰させる。そこに外の皮をとったネギと鶏肉を入れる。沸騰すると、残りの白菜や豚肉を投入する。


 そのまま、火を入れたまましばらく放置だ。灰汁を取り除きながら時間が過ぎ去っていく。たまに水を付け足してアクがもう出てこなくなると、出汁を取り出して他の器に入れておく。海老を入れてもよかったな・・・。


 これが男が作る鍋だ。取り出した方が常温に冷えると、冷蔵庫の中に片付けておく。肉に出汁の味が染み込んでいて美味しい・・・。白菜も甘い。今回の唯一のハズレはネギだったようだ。甘みもなく、苦味が残っているものだった。ちょっとハズレだったな。完食したそれに、少し湯掻いた麺を投入し食べる。麺の全体は熱くなっているが、芯が残っているため食感が残り美味しい。


 おじやは明日にするか・・・。

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