第854話
召喚したものを参戦させることは不可能となった。地面を濡らしていた魔力が、充分に染み込んだ。そのため土操作が可能となり地面から棘を生やす。今度は性質変化をさせた魔力をコーティングし、斬撃を放った。
魔力の糸を俺から伸ばしながら、近寄っていく斬撃。それを受け止めるために、盾を構えているレアナイト。その斬撃と武器がぶつかり煙がわずかに立つ。その煙が腫れる頃には、その腕は噛みちぎられたようになくなっており、斬撃を覆っていた何かがもぐもぐと咀嚼しているように動く。
そして、そこから伸びている糸を頼りに主人の元に戻っていく。魔力でできたものだが、一種の動物にも感じる。そんな不思議な生物だ。レアナイトは武器を失った今、何も攻撃をすることができない。だが、その武器を取り返そうと必死に、後ろから放たれる魔法を放置して馬を走らせる。
屋敷には執着心がなかったが、剣にはあったようだ。生前の主人に対する思いなのか、雇い主に対しての思いなのか。それは誰も知らない。やっと執着心を出してくれた。そう思い、微笑んでいる。魔法攻撃をしながら時間を稼ぎつつ、地面に魔力をずっと伸ばし続けていた。
深く、そして広く。ずっと、今か今かと待ち、イライラや執着心で攻撃範囲内に入るのを待ち侘びていた。そのタイミングが今ここに現れる。地面が2つに分かれ、レアナイトがその谷に落下していく。そこにあった地面は端に寄せられなくなっており、その端から多くの土が空中に浮き始める。
馬は気がついていたのだろう。止まろうとしても、主の命令により進み続けなければならない。なんとも可哀想な存在だ。落下していく衝撃に耐えることはできずその馬の足は折れ、馬として死んでしまった。冷静になったレアナイトはそれに気がつき、召喚を消した。
潔く負けを認めたようだ。両手を上げこちらを見ているように感じる。ひと思いに殺せということか?そのまま、生き埋めにでもしようと思っていたのだが、変更だな。空中に持ち上げていた土を圧縮に圧縮を重ね、1つの槍を作る。
それを真っ直ぐ心臓部分を狙い、貫きその後ろの地面に刺さる。その瞬間、屋敷からやってきていたアンデットたちは、土に変わり体が崩壊を始める。これで終わればよかった。屋敷の屋根からこちらを見ている存在がいる。
どうやらあれが親玉なようだ。兵士が土人形だったということは土を作っていたやつがいるということの証明だ。そいつがやってきたのだろう。まだ攻撃をしてくる気配はない。念話で魔術師に魔法から俺を守るように命令を出す。そしてマジックバッグからスナイパーライフルを取り出し、瞬時に構え発泡した。当たったそれは兵士と同じように土になり消えていく。
視線を感じたのだが、気のせいだったのか?中からは魔石が落ち、屋根を伝いながらこちら側に転がってくる。これが原因で視線があると勘違いしていたようだ。それを踏み砕くことで破壊した。
泥人形系は魔王具の一種なのか?裏設定がよくわからない。ドロップは、忠誠の心というアイテムだった。忠誠を誓う相手がいると、ステータスが1.2倍になるというものだ。いない場合は0.8倍になるらしい。これは騎士行きだな。
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