第898話

 また月曜の授業だ。だんだん時間の感覚が短くなっている。集中できていることの証明になっているのだから別に問題はないか。銃ゴブリンの面倒を見てから、俺の訓練に取り掛かる。そして、的の回収を始める3分前に銃をカバンの中に詰め込む。


 あの王子がくる数分前に脱出することに成功した。いつもであれば、真面目に的の片付けを始めるまで銃を撃っている。それが終わってから銃を片付けるため、授業後にやってきたあの王子に合流されてしまう。なら先に片付けをしてから、的の回収をすればいいと考えた。


 見事成功し、捕まることなく脱出できた。これなら今後も絡まれずに、外に逃げることができそうだ。だが銃ゴブリンのレベルが上がり魔力が増えれば、最初の訓練時間が伸びることになる。俺の訓練ができない。それであれば別にダンジョン内ですればいいだろう。


 他にも問題が出てくる。それは、サボっているのではと疑惑をかけられることだ。銃ゴブリンの面倒を訓練する名目で許可が出ている。それを全ての時間行っていると完全なサボりと見做されていてもおかしくはない。


 最低でも半分は訓練をする必要があるな・・・。最後の方になればテストも近くなる。その近くになれば、銃ゴブリンを召喚しないでおこう。そう決めた。特に練習しなくても止まっている的なら当てることができるのだから、別にどっちでもいい。


 テストが近くになれば、動く的と動かない的のどっちを狙えばいいのかを言ってくれるといいが、自己責任なので言わないだろう。答えは、どっちでもいいように訓練しておけが正解となる。それか銃ごとに狙うべき的を変えるとか、そんなこともできるだろう。スナイパーで狙う的をアサルトで狙えともならない。その逆もそうだろう。


 2回の授業で整えてのテストみたいな感じになるだろう。俺の訓練は動く的を撃つことになりそうだ。特に問題はなさそうだ。そして水曜日の近接戦闘では、怪我をしない程度で程々の戦闘になる。そのため、時間を稼ぐのなら余裕といった感じだ。


 軽業の影響か、体が思ったように動く。いつもなら、考えてから体を動かすためワンテンポ遅くなりギリギリで回避をしていた。だが、思考をしてから一瞬で体が動くため動体視力頼りでも回避することは可能だ。避けた後も変則的な攻撃をしてくるので、それは動体視力頼りで回避をしている。


 壁走りはギリギリまで隠し通すことに決めた。意表をついたり横に貼ったシールドの上を走ることもできるだろう。横に飛び、相手がその先に狙いを定めていたときに意表をつくことができる。それならギリギリまで隠し通しておくことが正解なのだろう。


 適当に凌ぎ、水曜は終わった。考えてみたがもしかすると、怪我をしないために手を抜いているのではなく。怪我をさせないために手を抜いているのかもしれないな・・・。舐められているのかもしれない。

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