第938話

 殺してもいい戦闘が一番楽だ。試合とかで殺さないように動けと言われる方がきつい。ガントレットに魔力形質変化で覆い形を変えることで、ゴツくイカついガントレットに作り替える。そこにファイヤーエンチャントで上乗せだ。


 肉をえぐるのであれば、ウィンドエンチャントの方がよかった。だが、鎧をつけているため属性は火の方がいいと判断した。基本的に使ってくるのはビーム系の魔法だ。レベルを上げることができない代わりに、スキルレベルを鍛えたようだ。下手すれば賢者まで行っている可能性があるな・・・。


 俺の方に向いているのは色なしのオークの7体だ。色付きのオークは王を守るために援護に動くようだ。魔法の準備をしていることから、武器と魔法どちらも使う魔法剣士のような立ち位置なのだろう。アシストをするならそっちの方がちょうどいいだろう。


 魔法使いの属性はまだ1つしかわかっていない。最初にレーザーとして放たれたのは火属性だ。属性がバレていないことへの有利性も理解しているようだ。もし理解せずに3体とも魔法を使ってくれると、その相性の良い魔法ばかりで攻撃をすれば良いだけだから簡単になっていたのに・・・。


 魔法を使うやつと、ヒーラーは固まって行動をしている。最悪身代わりになって回復役を逃すような立ち回りだ。しっかりと作戦が練られている。距離が空いているのなら、この作戦がいいだろう。最悪ピンチになれば、魔法で時間稼ぎをした状態で王の方に逃げることもできる。


 どっちにしろ戦いにくいな。あとは、俺たちの前衛の数で判断しているのだろう。前衛を務めるのは、俺と騎士だけだ。そうなれば、前衛を後ろに流さないように戦えば完全に防ぐことができる。飛ばされる魔法なんかも、後衛の魔法職が対処すればいいだけだ。


 これで前衛の人数が増えていた時には、魔法主体の下がりながらの戦いに変わっていたのだろう。逃げられるよりかは向かって来てくれる方が楽だな。盾持ちがやってくる。俺の対処に動いたのはこいつだったようだ。


 防御タイプか・・・。全身鎧のため、攻撃が通るのような隙間が見つからない。高威力の攻撃で防御力を突破するしか勝つ方法はないだろう。騎士の方に2体行ってくれているのはありがたい。だが、代わりに俺の方に魔法使いが1体マークしているような感じだ。


 白狼と魔術師のコンビに1体ずつついている。相性の悪さがひどい。騎士の負担が大きいな。もし、両方の相手をすることができなければ、どちらかが白狼のほうに向かうことになるだろう。さっさと殺して隠密で後衛に奇襲を仕掛けるか。


 刀に手をかけ斬撃を放とうとしても、盾で完全に防がれる。しっかりと気力が込められているため、貫通させることができない。守りに特化しているやつはこれだから嫌いだ。地面に魔力を込めることもできないため、足元から奇襲を仕掛けることもできない。


 アースランスでわざとゆっくり放ち盾で防がせる。防具もしっかりしているものだというのがわかる。その盾に当たった瞬間魔力が消失した。魔力吸収の効果を持った盾だ。対魔法特化の魔法使い殺しの盾だ。んーどう戦おうか?

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