第865話
ラスボスとの戦闘は少々長くなりそうなところだ。剣を突き出し攻撃をしてこようとしているのに対し、俺は抜刀で4連斬をするために刀に手をかける。そして、攻撃をしようとしていた時だった。ピーッと笛の吹かれる音がする。
もう10分が経ったのか?少し早いな。そう思い、刀から手を離し攻撃をやめた。集合の合図だ。そして後ろを振り返って、戻ろうとしていた時だった。後頭部に凄衝撃が入った。首が飛ばされたのではないか?と錯覚するような攻撃だ。ヒールで回復をすることでなんとか意識を保つ。刀を鞘ごと地面に突き刺し、杖代わりにして移動をする。
後ろを振り返ってみると、顔面(デコ)を抑え地面を転がっている。武器の部分ではなく顔面でぶつかったようだ。あいつ音に気がついていなかったのかよ・・・。いろんな攻撃をしてきた弊害だろう。武器なしでも戦うことができることはとっくにバレている。
それが原因で攻撃をやめなかったのだろう。やってるだろ・・・。シールドを張っていればよかった・・・。それならダメージを受けずに済んだのに。念の為、転がっている大魔王に回復魔法をかけておく。
観察していると、動きがおとなしくなった。俺の痛みも引いていく。脳細胞が回復したのか?とりあえず、生きているのかを確認するため、鞘でツンツンと、つつく。まだ、痛みは残っているようだ。だが、ピクピクしていることから生存を確認できる。
「行くぞー」
聞こえているかは知らないがそう声をかけ、行こうとしたが鞘が掴まれる。後ろに倒れそうになる体を必死に支える。
「おっっっm」
危ない危ない、重っと言いそうになったが踏みとどまってよかった。なんなら気にしなさそうだし言っても良かったのではとまで思ってしまう。鞘から手が離されたので、後ろを振り返る。
「持ち上げて」
そう言いながら大魔王様は、腕を引くことで体を持ち上げることを所望していらっしゃるようだ。ここで持ち上げるつもりはない。そのあげられている手を握り、地面を引きずりながら集合場所まで移動をする。
そして、集合場所に到着した。いろんな人に見られたが仕方がない。座っている人の背中を背もたれにしないでくれ・・・。汗が染み込んだ服が肌に張り付いて気持ち悪くなる。9月になったが、まだ暑さは残っている。さらに室内も密閉されているため、サウナのような状態だ。汗をかいてしまうのは必然だ。
戦闘中にすまない。と最初に謝罪から入るようだ。体内時計は正しく、まだ10分も経っていなかった。追加で出されたのは、相手の人を変えても変えなくてもどちらでもいいぞ。とのことだ。あとは怪我をしないようにしろよ。と言われただけだった。それならいちいち戦闘を止めずに移伝えてもらいたかった・・・。
再開するから戻っていいぞー。そう言われてしまった。一応怪我人だしな・・・。どうするのか聞こうと、尻についた砂を落とし終わり振り向こうとしていた時だった。両腕を掴み、背中と背中をくっつける。そして本気で元いた場所まで走り出した。
正直恐怖だ。急に捕まれ移動するのだから、にっこり微笑みしてやったりとした顔をしている。あの仕返しだろう・・・。スライム金属でレイピアを作り戦闘の準備ができたようだ。急に掴まれたことに対する驚きで、鼓動が早くなっている心臓を落ち着かせ戦闘を再開した。
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