第483話

 そんなこともあり、27階にやってきた。猪がいるってことは瓜坊もいるのかな?瓜坊の方が美味しいらしい。昨日のうちに調べていた。一番の狙いは瓜坊だが、殺すなら大物を狙いたい。


 そして、探すこと10分。ついに猪を見つけた。大きく反り立つその牙。体に刺さると重力の関係でさらに深くまで刺さりそうだ。いやー怖いねー。


 そして、俺はシールドの上で隠密を発動し、その気配を消す。その真下に分身体を出し、猪の方に近づける。威力チェックだ。これで一方的に殺すか嵌めて殺すのかが決まる。その牙に纏うのは火魔法だ。王道でありながら、高威力。


 擦れば火傷、刺さればじっくり焼かれた焼死体の完成だ。分身体に突撃をした。肝臓あたりに2本の牙が刺さる。その牙は体を貫通させる。その分身体の体は、猪の顔面まで食い込む。猪が突撃時に目を閉じているのは素早さからだと思っていた。


 だが、目に血が入らないようにするための可能性も出てきたな。体を貫通することはできると・・・。これは予想通りだな。次の問題だ。また分身体を出し、近づけ突進をさせる。分身体の背後には木が置かれている。


 ダンジョンに多く生えている木はへし折ることができるのかだ。へし折ることができるなら逃げる時にまっすぐ逃げるのではなく空中に逃げるのが正解になる。


 逆にへし折ることができないのならその木に当ててから魔法を放てばいい。その運命が決まる。分身体がぎりぎりで攻撃を回避した。左腕は無くなったがただの分身体だ意志を持って叛逆されることはない。


 木に当たると同時にさらに足に力を入れ、地面を蹴り木をへし折った。折ることはできるけど時間がかかる。それが大きな隙だな。これならなんとかなるなー。近づかない方がいい。それが思い至った結論だ。


 どっちに攻撃が向くかわからない。それならバレないようにして一撃で仕留めるのが正解だ。分身体を2体追加する。さっき突撃したのと反対側にある木だ。足で地面を蹴り土煙を少々あげてから突撃を開始する。それが転移行動のようだ。


 あれは牛がするはずだったが・・・。魔物にそれを説くのも時間の無駄だからなー。そのまま分身体を動かすことなく、体を貫通させ木に衝突する。木片を飛ばし、さらに加速を始め用としている。だが、刺さったのが上の方でうまく地面を蹴ることができていない。


 ここでラック上昇君が役に立った。そして魔術まで昇華することができた。土魔法で、地面を削ることで足場が完全になくなる。


 その猪がいる真下にファイヤーランスを、空中にはアースランスを作り、発動させる。アースランスが腰に刺さる。ブヒーと大きな音で鳴く。そんなうるさい口を塞ぐように首にファイヤーランスが貫き貫通する。


 地面に刺さろうとするアースランスに対抗するように踏ん張っていた足から力が抜けた。それに伴い、刺さっているアースランスが斜めになり、肉を抉るように外に飛び出し地面に落ちる。


 そこから血が溢れ出ている。だが、血濡れた地面は一瞬にして元の土色の地面に戻る。感染症防止をできていてえらい。どこかの土葬人種とは違うなー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る