第970話

 魔力形質変化でその突き出された腕をナイフごと覆う。口では勝てないから暴力に出る。典型的だなー。リーダーのセンスがないのだから、大人しくパーティーの歯車になっていればいいのに。ナイフの刃を折る。わざわざ、折りたたみ式を選ぶあたりセンスがないなー。なんでわざわざ刃が薄くなるように作られたものを選ぶのか?それがよくわからない。


「これどういうこと?もしかしてこんなので俺を殺すつもりだった?」


 返事がないただの屍のようだ。


「まあいいや」


 体全体を覆い、地面に倒す。ちょうどいい実験台だな。


「ちょうど実験体が欲しかったんだよね」


 首元から口を完全に塞ぐ、鼻で息ができれば十分だろう。


「悪さをするのだから、その目いらないよね?だからもらってあげる。ちょうどつけたいものがいたんだよ。」


 マジックバッグから人形を取り出した。


「この人形さー。最終的に人になるらしんだよねー。けど人形ってことは、目とか耳ってついてないじゃん?生えてくるかもしれないけど原理の証明はできないでしょ?だから、その耳と目をもらうね?そんで、この人形につけようと思っているんだよ。もちろん君に拒否権はないよ。とりあえず、そのナイフを使わせてもらうよ」


 首を横に振っている。


「大丈夫、大丈夫。終わった後は回復させてあげるから。元に戻るのかは知らないけど、きっと上手く行くさ」


 手首の部分の拘束を解き、足で踏みつけ捻る。渡さないように握っていたてから力が抜け、そのナイフが地面に転がる。


「そこのパーティメンバーの人は来なくていいの?こいつを解放するか、実験体になるかどっちがいい?あっ、逃げると追わないから安心していいよ」


 即反転し逃げ出した。


「あららー、逃げちゃったね。やっぱり君には人望なんてなかったんだよ。価値皆無な君に、俺に実験を手伝ったという価値を付与してあげるね。手首を怪我しているね。回復魔法で直してあげる」


 回復魔法をかけながら、ナイフの修復も終わった。魔力形質変化で繋げるだけだからすぐに終わる。切れ味上昇の効果を付与し、その頬を撫でる。


「これが君の目に入るんだよ。麻酔はないから痛いけど我慢してね?だって君が攻撃を仕掛けてくるのがいけないんだよ。首を振っていると、変なところに刺さって目が傷つくかもしれないじゃん。暴れないでくれる?」


 首元を動かないように本気で固定する。手元を出していたところから液体がこぼれ出し、アスファルトを濡らした。


「漏らしちゃったかー。どうせ血で濡れるのだから変わらないよねー。首も動かないように固定できたから、まずは邪魔になる眉毛かな?」


 刃を寝かし、眉毛を剃り始める。


「あー、動かないでって言ったのに・・・」


 眉毛から血が出てきてしまった。めんどくさくなったため、頭の全部を固定する。


「これで動けないよね?」


 あー、ガムテープを貼ってべりべりべりって剥けばよかったな・・・。


「摘出方法の説明がいったね。目の周りの皮を切って、そこから骨も切り出すよ。そうすれば邪魔もされずに目の摘出ができるからねー」


「説明も終わったし、始めるよ。瓶もいるかな?直接つければいいか。それが終われば耳を取るだけかな?多分表面だけを取ればいけるはずだからねー。あ最後にナイフを見ておく?このナイフが君の皮膚の中に入り込んで、目玉を取り出すんだよ。もちろん、これは君のだから、摘出が終わったら返すから安心してね?」


 目の横からだな。とりあえず、目尻にナイフを突き刺した。


「あ、気絶した。」


 白目を剥き、気絶してしまったようだ。よしこれでいいなー。解散だ。解散。気絶をしたということは本当に摘出手術をしたのかがわからない。回復魔法が使えることは身をもって体験をしている。それなら、実際に起こって修復したと考えていればいいだろう。


「これでよかった?」

「やりすぎです」


 まあ、トラウマになってくれるのが目的だからねー。理想は武器を持つことができなくなればよかったんだけどなー。多分いまの恐怖だとナイフくらいだろう。次は本気で腕を摘出しても良さそうだな。


「これで寄って来ないと思うよ」

「そこには感謝しています」

「最初から、摘出まではやる気はなかったから大丈夫だよ」


「え?周りの人は本気ですると思っていましたよ?」

「え・・・?マジ?」


「先生を呼びにいったりとかは?」

「それは起きていないので大丈夫ですね」


「なーんだ、よかった。んじゃー、帰っていい?」


 これであいつも腫れ物になっただろう。


「授業でしょ?授業頑張れ。」


 で火曜日が終わった。

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