第969話

 もう時間もなく、他の階層に行っても魔物を探していると時間が過ぎるくらいだろう。40階層のボスに時間が取られてしまった。そのため、もうこの日は家に帰ることになった。収入が0になるのは初めてのことだな・・・。


 そして、銃の授業が始まる。いつも通りゴブリンを出し、その後に俺が練習することをした。そして授業が終わった。だが、毎日来ていた王子が現れない。連絡があれば、何かしらのメールが来るはずだ。隣で銃を撃っていた人に寄っていたのは、友達関係とかではなくパーティー仲間だったからなのか。


 恐ろしやー、恐ろしやー。まあ、首にした人が悪いのだから仕方がないだろう。何もないのであれば、もう家に帰るだけだ。何もないため、外に出ていた時だった。喧嘩をしている声が聞こえる。よくあるパーティー内での喧嘩だ。


 バンドでよくあるような方向性の違いとかだろう。こういうのは野次馬とかにもならず、即帰る方が正解だ。メールが鳴る。スマホを見てしまった。そこには授業が終わったなら助けてください。と書かれているものだ。


 絶対にあれだろうな・・・。ごめん、今日は授業サボったから大学にいない。そう返信した。今日学校にきているのは知ってますからね!さあ、諦めて助けに来てください。いつ出会ったのか。まさかストーカーか?


 そんな思いに耽っている時だった。着信音がなる。慌てて、ミュートにしたが時すでにお寿司だ。もう背後には、王子が立っていた。さすがにバレていたか・・・。着信音が鳴るということは、メール音も鳴っている。


 メールを送った瞬間に、メールが届いた音がなるのであれば近くにいると考えるのが当然だろう。それが複数回行われている。しかも、授業が終わってすぐで俺が授業を受けていた訓練場付近だ。策士め。ガシッと腕を掴まれ、その手を離すことも容易ではないだろう。諦めるか・・・。


「で?話は?」

 さっさと問題を解決して帰りたい。ギャラリーが多過ぎる。


「嘘をついたことに謝罪をしてください!」

「あー、ごめんごめん」


 なんか満足しているようだ。


「話は、あの人たちを説得して欲しいのですけど・・・」

「関係性は?」


「元パーティーメンバーです」

「パーティー復帰の話ならよかったのでは?」


「ほら!その人もいいと言っている」


 勝手に決めつけるなよ。いいのでは?と聞き返しただけだ。脳みそが空っぽかよ。


「あの、パーティーには戻りたくないんですよねー」

「ふーん、じゃあソロでいんじゃない?わざわざ楽しくないパーティーに行く必要はないでしょ。代わりになるような人なんて探せばいくらでもいるだろ」

「言い方!」


 王子の方が何故か怒り出す。実際に首にするぐらいだ。次のパーティーメンバーの目星くらいはついていただろう。


「いや、それがその人と折り合いがついていなくて・・・、それで帰ってきて欲しいなって感じです」

「へー、リーダーでしょ頑張りなよ」


「しょうもないなー。帰っていい?」


 クソくだらないことで時間を取られたくない。つーか原因はこいつだろ。


「どうせ、揉めたのは職業と金銭の問題でしょ?アホすぎて話にもならんわ」

 図星だ。口を噛み締め、俺を方を見てくる。ここで反対できないのであれば、事実だと考えていいだろう。心でも折っておくか?こういうのは事実を並べればなんとかなるはずだ。


「職業とかは、全部あんたが決めてるんでしょ?新しく入った人がそれを拒否し口論になった。まあ、そうなるよね。人生を決められているような感覚になるのだから、普通の人は拒否をするでしょ。しかも防御力を上げるだけの職業ばかりを取らせる。まるで攻撃系は俺が行く。みたいな自信満々だね。自意識過剰かな?


 んで金銭?あれ論外だよね?仲間内で金にばらつきがあったり、荷物の持ちの人とぐるになって渡す金を引き下げたり、自由にできていたんでしょ?でも入ってきた人から否定され、パーティー内でも疑問となる。この作戦が破綻したわけだね。


 あいつなら、何も気にしないから今まで上手くいっていたんだろうねー。まあ、こんなにギャラリーがいるのだから、もうあんたの人生は詰んだんじゃない?まだまだあるんだけどなー。どうしたんだい?そんなに顔を真っ赤にして、カルシウム不足かな?しっかりと牛乳飲もうねー」


 腰から折りたたみ式のナイフを取り出し、襲いかかってくる。

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