第819話

 前悪魔の本来の殺し方を想像していた。あれを俺流にアレンジしたものができるかな?と思いそれを試してみるつもりだ。本来の人間と戦い、殺さないような戦い方と殺すための戦い方は違っている。その殺す方を試すだけだ。


 想像していたのは、スライム金属を体に突き刺す。それと同時に、体の内部に流し込み外方向に向かわせることで体内の内臓もろとも傷つける殺し方をするだろうと思っていた。それを魔力性質変化でしてみようかな?と思っていたので試してみる。


 スライム金属を体内に入れるには、攻撃と同時に突き刺さなければならない。俺も魔力だけで武器を作ればいいのか?それを使って攻撃をして、そのまま外に向かわせるようになる。・・・ならば鋭さだな。槍を作り、地面に突き立ててみる。


 鋭さは問題ない。やはり鍛治系の職業を経験していて正解だな。それでオークとの戦闘だ。初手から魔法で拘束し実験を始める。頭と手足を拘束し、腹に作った槍を突き刺しめり込ませる。そして、形質変化で外に向かわせた。


 二方向に分裂させ、動かしてみると脇腹から2本の棘が出てくる。一応成功だが、この数を多くしていけばいいだろう・・・。どれだけ魔力消費が多くなるのか・・・。遠距離から操作できれば体内に時限爆弾を敷けたような状態になるのになー。


 オークに突き刺して時間が経つと、消えていく。どうやら魔力が排除するような特徴があるのだろう。手放して空気によって自然分解されるよりも早いぐらいだ。金属という実在する物質だからこそ、あの技ができていたのだろう。


 魔力が物質というよりは空気に近いからな。もっと魔力をこめていれば、いけるだろう。操作するための魔力と、維持するための魔力の2種類を込めていればいけそうだ。間違えて全て使いそうだ。繋いでいれば魔力が切れることはない。だが今は無抵抗な状態でしているから成功している。これが抵抗されると考えると、難しいだろう。まだ魔力操作のレベルを上げる余地は残っている。


 そこを上げていけば、すぐに形を変更できるようになるだろう。後は少しの違和感だ。他人の体に入っている。そのため、その体の持ち主からすれば異物扱いになる。それが原因か魔力を流す時に妨害されているように感じてしまう。


 あの時は表面から魔力を流したことで変化をしていた。だが、内部からはダメなのかもしれない。といっても誤差の範疇に過ぎない。実践で使うには問題はないが、妨害されるかもしれないということを頭の片隅にでも置いておく必要がある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る