第831話

 8月・・・8月かー。早いなー。後期の授業中に、授業が始まる1週間前に大学に行き、卒業することができる階層の発表が始まる。その年の卒業生の平均のレベルに合わせて設定されているため、毎年そのボーダーラインは変化している。


 一定だと思って、大学に入ってレベルが高い時に入学してしまうと地獄になるだろうな・・・。まだ、発表もされていないため安心できる。その確認方法は、大学の先生が一緒にダンジョンに潜ることで、その階層のモンスターを倒せることを証明すると言うものだ。


 もちろん動画でも問題はないが信頼されていなければ、再提出や一緒に行くことが決まってしまう。まだまだ先の話だ。どの階層が来てもいいように、ある程度までは進んでおかないとな・・・。ダンジョンは指定されているところで行うことになっている。


 もちろん、場所も発表されているため、そこのダンジョンに潜ることになる。まあ、いつものダンジョンなので問題はない。今のところクリアしているのは36階層だ。ここ数年であれば、29〜34あたりになっている。


 去年なんかは30階層のオークナイトだった。そこであれば楽なんだけどな・・・。レベルが高いと判断されると、その階層が高くなってしまう。念の為40までは行きたいな。8月の1週間目の折り返しだ。次の階層に行こうと思う。8月の半ばのお盆の時期を考えると、今から行っておく方がいいだろう。


 次の階層は、37階層だ。モンスターは蜂だ。・・・正直行きたくない。うるさい羽音の中移動するとか拷問レベルだ。変なことをせずに魔法で殺すことにするつもりだ。体が小さく、巣から出てくるようなモンスターであればよかったのに・・・。


 マザースパイダーのようなモンスターといえばわかりやすいだろう。体が大きく、女王蜂が存在している。そして、それを守るように何体もの鉢が飛び回っている。考えるだけで鳥肌が立ってしまう。運が良ければ蜂の子が敵として現れるようだ。


 現れなくていいのに。白い芋虫のような体・・・。正直、羽虫なんかよりも芋虫の方が生理的嫌悪感が強く、視界にすら入れたくない。この階層の基本ドロップは、毒液、針、蜂蜜、蜂の子(小さくなったやつ)だ。


 一番最後のドロップはゴミなので速攻で捨てることを誓おう。サハギンで、育成キットがドロップしたのだから、今回の蜂の育成キットもあるのでは?・・・これもいらないなー。一応数で攻めるタイプのモンスターなので強い部類なのだろう。


 見た目が最悪なので外で出さないでください。


 やはり、インセクトテイマーになる人の気持ちがこれっぽっちもわからない。一種の犯罪者のように思えてくる。

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