第1046話

 土曜日がやってくる。成長した力を見せてもらおうか。その前に聞きたいことがあった。それは、なんであのパーティーと組んでいたのかだ。正直、成長具合やスキル構成から考えると元の戦闘スタイルに合っていたから入ったとかか?


「そういえば、なんであのパーティーと一緒にいたの?」

「急にどうしたんですか?」


「あー、絡まれてね。気になったからかな?」

「すみません」


「もう関係ないでしょ。気にしない気にしない。で理由は?」

「なし崩しって感じですね」


 順番が1つ進む。準備運動として15階層に移動している。ここで成長したところを確認してから、行こうと思っている。前に並んでいるのは数人、多分2パーティーくらいだ。話が終わらない間に、順番が回ってくる可能性があるな。


「あのダンジョン学習か・・・」

「あの忌々しいダンジョン学習ですよ・・・。何がパーティーを絶対に組めだ!クソ教師め!」


 あのパーティー強制おじさんの被害者がここにもいたようだ。それであのパーティーを組んだようだ。


「しかもあの教師か・・・どんまい」

「変に棘が立つのが良くないかな?と思いそのまま放置をしていると、あんな感じになってましたね。まあ、役割が決まっているので楽だったというのもありますけど」


 順番が回ってきたようだ。あのキノコも余裕で倒すことができているようだ。前も余裕だったから、この階層は問題なかったか。準備運動もこれで終わりだろう。26階層は余裕だったから、その辺りはいい。移動中も少し雑談をするか・・・。


「高校とかもダンジョンに行ってたの?」

「大学からですね。師匠は?」


「高校からだねー」


 階層が違うのは経験値とかの差もあるだろうな・・・。


「熊を見つけたので行ってきます」

「行ってらっしゃーい」


 数分で戻ってきている。そしてドロップを見せつけてくる。どうやら瞬殺することができたようだ。どこでレベル上げをしていたのかは知らないが、しっかりとレベルを上げていたようだ。じゃあ、次に行ってみようか。これも前回普通に倒していた猪だ。避けてから魔法で殺すことを決定しているようだ。


 うん、これも問題ない。1番の問題だった鹿に行ってみよう。出会って早々、魔法をこれでもかと撃ちつける。最初の能力確認も兼ねてのあまり力を出してこない魔法を貫通し、本体の鹿に当たる。鹿も魔法を撃墜しようとしていたが、光魔法の素早さに負け防ぐことができない。


 だが避けようと努力はしていたようだ。右に振り向き横に走ろうとしていた。当てっても即死の急所を避けようとしていたのだろう。だが、王子の狙いは顔ではなく、体を狙っている。的の大きさを重視しているのはいいことだ。


 その当たった場所を貫き、鹿が殺される。余裕そうだな。あと疑問なのは魔力量だな・・・。


「魔力管理の方は大丈夫そう?」

「余裕です!」


 おそらくランス系ではなく、スキルレベルが低い状態でも使えるバレット系を使っているのだろう。節約しているのなら、問題ないか。前回は行かなかったカンガルーと戦ってもらうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る