第1083話

 少し時は遡り、王子の方にスケ3を派遣した後のことだ。目の前からやってくるオークの方は舌なめずりをしている。完全に格下だと思っているのだろう。召喚魔法でも使ってみようかな。一定のものばかりだとスキルレベルが上がるのが遅くなる。ちょうど防御力が高い2体が相手だ。


 多く使うことでスキルレベル上昇につながるだろう。召喚魔法を空中に作り出し、そこから飛び出してくるのは、カースウエポンだ。そして俺の周りにも召喚の魔法陣が出現し、発射する。発射したのは召喚した武器だ。


 進化やスキルレベルの上昇により、数回の攻撃では壊れない耐久度になっている。というか、剣が進化したらどうなるんだろうな・・・。オークナイトの方に飛んでいきそうな、武器には自爆を付与する。当たった瞬間、耐久値を全て使う代わりに、高威力の魔法攻撃が発動するという効果がついている。


 耐久値依存で攻撃力が変わる武器だ。あまり使っていなかったこともあり、耐久値はまだ低い状態だ。そのため、ダメージもあまり入らない。たまに少し装飾がついた効果付きの武器も出てくるようだ。そろそろだな。オークナイトの方は、飛ばされてくる武器を無視し、上のカースウエポンに集中しているようだ。


 と言っても全く操作しておらず、真下に落ちろとしか命令していない。当たった瞬間に召喚を取りやめ再度召喚する感じだ。そして、召喚場所を切り替える。魔法の付与はもうできない。武器の召喚ってやっぱり邪道か・・・。


 カースウエポンの方は時々、盾が出てくるためそっちは俺の防御に移動させておく。どう殺すのかだよな・・・。攻撃に行くことはできても、今のままだと殺すまではいかない。カースウエポンをオークナイトを中心に回転を始める。


 どこから攻撃を仕掛けられてもいいように、背中同士を合わせ死角を無くす。剣を落とす方の召喚はもう消しておく。爆風により、カースウエポンの隊列に乱れが生じる。それを防ぐためだ。その落下がなくなったことにより、上を見上げることをやめた。


 攻撃をするのならこのタイミングだろう。進化後のカースウエポンを4体ずつ攻撃に移させる。そのカースウエポンの攻撃を盾で受け止めたり、剣で受け止めたりしているが、オークナイトの攻撃がカースウエポンに入ることはない。


 その見た目はほとんど変わらず、大量にいる他のカースウエポンに紛れ込むことで攻撃を開始する位置を誤魔化し続けている。そのため、ほとんどの攻撃が当たっている。カースウエポンがどこから攻撃をしてくるのか、本気で警戒し始めた頃だ。


 上から小さな光の球がオークナイトの脳天上空にゆっくりと落ちていく。だが、オークナイトは気がつかない。カースウエポンが少し離れ、剣先がオークナイトの方に向く。全てのカースウエポンからの攻撃を警戒している。武器を持っている手にさらに力が入った。その時、爆風と共に眩い閃光がその場を包み込む。それと同時に耐えることができなかったカースウエポンが消えていく。


 残っているのは進化したカースウエポンと、腰から上が消え去ったオークナイトだったものだ。

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