第1173話

 まずは、11階層のゴーストからだ。入ってすぐには、周り一面海に囲まれた陸の孤島にいる。そして、少し進んだ先にも同じように陸の孤島が点々としているのだった。あたり一面は夜で、水平線状に月が沈みかけている。その月を食らうように出口となる扉が置かれている。


 ライトボールを作り出し、海の上に浮かべる。と光が水面を反射し道を作り出した。何人が乗っても沈むことはなく、そのまままっすぐ歩くこともできる。ゴブリンを1体召喚し、海の中に突き落としてみた。すると、地面からアンデットになっているサメが現れ胴体に食らいつき、水中に引き摺り込む。


 その落ちていったゴブリンが死ぬまで時間がかかっていないことから別ルートで向かうように移動させられているだけだろう。ステータスがあれば、そのサメを殺すこともできるはずだ。移動する道の広さは、3人が横に並んでも余裕がある程度の広さとなっている。数値で表せば、4mほどだ。


 トラップ検知も何も反応していないことから、大丈夫だろう。というか、光魔法もいらなかったか?移動すれば月明かりに照らされて道ができる仕組みだ。ただ、雲で月が隠された時には暗闇になってしまう。そのため、あった方がよかったと言えるだろう。


 ボディーガードの人も何人かいたが、足を滑らして水の中に落ちそうになっていた。だが、他のボディーガードが手を引き、落ちるのを防いでいた。脱落は防がれたようだ。というかボディーガードが足を引っ張りすぎだろ・・・。


 ゴーストの発生条件は数歩歩くことだ。その数え方はボディーガードやカメラマンも含まれているようだ。その結果起きることは、ゴーストの大量発生だ。明かりとして作っていたライトボールを飛ばし、発生すると同時に殺していく。


 使ってくる魔法が弱く、手に入れてすぐに使えるボール系の魔法だが、威力を絞ったものを使ってくる。素早さの変化もなく、ダメージは少ない。その代わりにノックバックに全振りしているようだ。当たっても10cm程度下がるだけだ。連続して食らうことがなければ、水の中に落ちることはないだろう。


 1つ目の島に上陸した。島というにも小さすぎる。一緒に入った人が全員入ることで島の半分が埋まる程度の大きさだ。そして島に足を踏み入れた瞬間、ゴーストが出現する。その手には弓が持たれており、空中に浮いていた。その弓で狙っているのは、まだ透明な橋の上にいるボディーガードからだ。


 タップダンスを始めてしまった。さっさと上陸すればいいものの、その場で避けることを選択してしまった。海上に出現するゴーストの生成速度が急激に上がった。アホか。ライトバレットを放ち、真っ先に1番近いゴーストを殺す。残っているのは3体だ。ゴーストの無限湧きに察したのか、婆娑羅も動き出した。


 狙ったのは1番後ろにいるものだった。魔法を使うゴーストから最も離れる場所にいることになるため、魔法攻撃がくることはない。さらに弓はずっと橋上にいるものを狙っている。婆娑羅を狙う敵は1体も存在していないのだった。


 橋上にいる人を捨て、先に弓を殺し終わらせた。まだ生き残っているようだ。というか、低階層のボディーガードとしてきている人ってもしかして、レベルが低い人が回されているとかだろうか?


 そんなことを考えながら、次の階層に突入した。今回は長くなるような気がする。単純な戦闘をするのなら、まだマシだが、他を助けながらになると時間がかかるな・・・。

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