第1174話

 11階層は終わり、12階層にやってくる。今日は最後の雑談とかをする余裕はなさそうだな。12階層には川が設置されており、その向かい側に行けばゴールのようだ。三途の川みたいな感じだろう。入ってきた入口を振り返ると、木材を置かれていることからそれで筏を作りなりして向こう側に渡れとのことだ。


 もちろん、三途の川ということは鬼のようなものがいるはずだ。その役目はゴブリンになっている。殺しても殺しても無限湧きをしてくるため、木を切り倒す余裕はなさそうだ。簡単に2本の丸太をくっつけた筏を作り、召喚したゴブリンを縄で縛り付けて川に放った。


 すぐにバランスを崩し、ひっくり返り俺たちがいる方に召喚された。それと同時に戦っていたはずのゴブリンは三途の川に落ちたゴブリンに近づき、持っていた棍棒でしばく事でHPを削り切る。反撃を全くしなかった。いやできなかったという方が正しい。死ぬ寸前になりやっと体を動かしていたのだから、行動不能のデバフがかけられる感じだろう。


 筏に乗り、川の上を漂っていた時には魔物は攻撃をしてこない仕様になっているようだ。さっさと海に出ればいいだけだ。念の為、カースウエポンを召喚しておく。考えていることが失敗すれば、ゴブリンのタコ殴りが確定してしまう。その時にはカースウエポンで殺してもらうか。


 足元にシールドを出し、その上に乗った。飛ばされることはなく、その上をキープすることができた。波打たない静かな場所だ。もし、水に当たった時に初期位置に戻されるのならクソだな。遅いやつはほっといていくか。波が静かなうちに渡りきりたいところだ。


「カメラマンの人ー、ばーちゃん。さっさと行くよー」

「その方法はいいのか?」

「ん?いいんじゃない?元の場所には戻されないようだし」

「そっちじゃなくて、後ろの方」

「さーねー15階層まで行っているのなら、降りてくる方が楽だろうし、何より、邪魔」

「邪魔は認めるけどよー」


 なら、先に行こうか。

「俺が踏んだところを踏めば、大丈夫だよ」


 この辺りの動画は基本全カットになっていた。その理由は単純だ。水に濡れた時に機材がダメになるからだ。別に濡れなければ、配信をしていても問題はないだろうと判断した。何事も起きることはなく、次の階層に足を踏み入れた。


 この階層は、入口付近のみに魔物がおり、それ以外は存在していないといったコストの低い階層だった。次の13階層は、ただのゴーレムだった。いつも存在しているようなゴーレムは2足歩行の人型が基本だ。だが、この階層のゴーレムは色々と形がおかしい。頭だけのパーツに手足を生やしたような、1頭身のものや足の形をしたものにさらに足と腕が生えているものが存在している。


 大体予想はついたが、実際にその思っているものが出現する確率は低いだろう。パーツは、頭、胸、手、足の4種類だ。合体というギミックが追加されたことで、金属のゴーレムが現れる確率は大きく下がっただろう。一刀両断してみたが、スライム金属が出てくることはなかった。

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