第1117話

 40階層のボス部屋その2に入っていく。中央に一本の太い柱があり、その左右に支えるのを手助けしているであろう細めの柱が4本ある。その1番太い柱の前に1体の魔物が胡座をかいている。鞘を杖代わりにして体をゆっくりと持ち上げる。


 そして、右手で持ち手を、左手で鞘を持ち引き抜くことで装備をした。鞘を軽く回し、持つ位置を変える。鞘と刀を使う二刀流の剣士だった。甲冑を着ていない分まだマシか?いやそんなわけないか。甲冑を着て戦うようにトレーニングをするはずだ。だが、甲冑を着ていないことによりそのデバフが消される。


 スピードが格段に上がった状態での戦闘か・・・。キツくなるぞ。本来であればパーティーで戦う相手だ。召喚しておくか・・・。最初に召喚したのは、騎士からだ。騎士を召喚してすぐに戦闘が始まる。腰を低くし、走ってきたのだった。


 走っているのはわかるのだが、足音が少ないように思える。武士(仮)が近づいてくるその直線上に騎士が入り込み、攻撃として放たれた刀を受け止める。鞘よりも刀を優先したようだ。受け止め動かないようにしたのはよかった。だが、鞘での1撃で吹き飛ばされてしまった。


 俺がよく使っている発勁のようなものだ。斬属性の武器を振ると斬撃になり、打撃属性の武器で殴るとノックバックがつくようだ。これは初めて知った効果だ。その作った一瞬の隙で、魔法を構築することができた。


 左手の鞘で振り払うように飛ばされたため、騎士がその方向に飛んでいき障害物がなくなる。これはこれでラッキーだ。作ったファイヤーランスを放つ。木製の建物に当たって燃やすわけにもいかない。そのため、選ぶのは刀で破壊する1択だ。


 狙いがあの大柱なのはバレているだろう。ギミックがあるとすればそこだけになる。ファイヤーランスを3つはなつ、1つはまっすぐ飛んでくるものだ。残りの2つは左右に分かれており、どちらかによれば片方は必ず当てることができる距離感だ。


 放った瞬間、斬撃を出し右側のファイヤーランスを破壊する。斬撃ってあれくらいの速度を出すことができるのか・・・。振るスピードをも精錬されているため、素早く無駄もない。木でできている床も1本の細い切れ目が入っている。


 そして左手に持っている鞘を投げつけ、もう片側のファイヤーランスを破壊する。残っている正面のファイヤーランスは持っている刀で破壊した。同時に壊すために少しは考えるかと思っていたが一瞬で対処されてしまったな・・・。


 これで鞘は完全に破壊できたはずだ。これでだいぶ楽になっただろう。

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