第742話

 リーダー個体と、後衛の相性が噛み合っていないため、コボルトが生き残っている状態だ。矢の数をあまり使わないようにして、すぐ倒したい。そう考えているようだ。だが、チーフの命令は生き残ることだ。すれ違いを起こしており、戦闘が長引く結果になっている。


 後衛が一番近いコボルトに矢を向けても、それにリーダー個体が食らいつき矢が通るような隙間が生まれない。遠くのやつを狙った時もそうだった。リーダー個体の気遣いにより、遠距離持ちのコボルトの射線を潰されてしまう。それが返って、後衛の邪魔になっている。


 チーフが前衛の2体を倒した時には、まだコボルトと戦っていたぐらい戦闘スピードが遅かった。攻撃もあまり行わずに回避に専念していたため、ダメージはそんなに負っていない。代わりにスタミナがなくなりかけになっている。


 チーフがとった行動はカースウエポンによるちくちく攻撃だった。狙いを後衛にすることで絶対に守りに入っている。それを利用して攻撃をするつもりだろう。それと同時にコボルトも攻撃できるように準備をしている。半分近くになっているが、武器を持っているので脅威だ。


 まずは魔法使いの攻撃から始まる。ウィンドジャベリンで後衛を狙った。こいつも魔力が切れかけのようだ。弱い攻撃だが、徹底的に守りたいと考えている相手だ。後衛の間に入りその魔法を盾で防いだ。左右からカースウエポンがやってくる。


 片方を防ぐことができてももう片方は防ぐことができない。後衛のオークはやっと出番が来たと言わんばかりにイキイキと矢筒から取り出し構えている。同時に放たれたことにより、リーダー個体のキャパを超えてしまった。リーダー個体はどちらかというと左側に立っている。


 それなら近くの左を対処してくれるだろうと後衛のオークは判断し、右側に矢を構えていた。だが、リーダー個体がとった行動は右の方を防ぐことだ。背後からやってくるカースウエポンの攻撃を受けるのかと思っていた。


 だが、狙いが突如リーダー個体に切り替わり、背中から串刺しになり死んでいく。過剰に守りすぎだ。それがこの結果になった。後衛が亡くなった方が、リーダー個体がめんどくさくなると考えていたようだ。


 守る程度であれば、仲間内の誰かが行けるのだから自身は前衛に上がるのがいいのかもしれない。単純に、後衛にいいところを見せたかっただけなのかもしれないな。遠距離の弓を構えたところで、殲滅する力が足りていない。魔法弓を持っていればまだマシだっただろう。


 構えるだけで弓が自動で生成されるため、魔力消費を考えなければ一番連射速度が高い。そして、なすすべなく死んでいった。これをもう1回してもらうか・・・。ドロップはあのリーダー個体が使っていた、盾だった。これでチーフの盾も新調することができた。


 効果は特についていなかったが嬉しそうにしている。

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