第82話

 さて、ダンジョンに潜ると言っておきながらその次の日には熱が出てしまった。原因は、冷房のかかった部屋で、上裸で寝ていたからだろう。それとストレスもあるのかもしれない。夏休みにそうそうのんびりと過ごすことはなかった。というか去年までの俺にとって想像ができていなかっただろう。


 寝て起きている頃には、日がくれ初めており、外はオレンジ色に染まっている。さらに元気になっている。だが、腹は減っているので、うどんを食べることにするか。病人が食べるものといえばうどんだ。そのため、冷凍庫から取り出して、煮込みうどんでもするか・・・。


 めんつゆに少し、塩と醤油をいれ、そのあと水を入れ薄める。沸騰してきたそれにうどんを入れると完成する。もうすぐ晩御飯のため、呼ばれるとは思っているのだが、腹が減っていて、何も考えることができないので、今食べることにしよう。


 沸騰を待っている間に少しスマホをいじってトレンドの確認をする。トレンドにはダンジョン配信がトレンドに入っている。ずっとされているダンジョン配信では、パーティーメンバーが一人戦えなくなる代わりに、その人に動画をとってもらい。それを編集し投稿をするといったものだ。


 今更トレンドに入っていることには疑問が浮かぶ、確認してみると、何やら撮影機器が届いたというものが多かった。撮影機器には、追尾機能があり、空中に浮いているものらしい。そのため、パーティーメンバーを割かずに撮影ができるようになった画期的なものが完成したらしい。


 それがお盆の際に発売されて、どこもかしこも売り切れになっていた。だが最近になり、追加で販売するということになったようだ。しかもそれは魔力で動くので、電気代がかからないという優しい設計になっている。


 従来のドローンであればすぐに動画を見ることで偵察として使うことができていた。だが、これは録画専用のため、動画をすぐに見るといった索敵として使うことができないようだ。


「いらないね・・・。」


 収入が増えるのは嬉しいところではある。だが、自分の手の内を晒すとなると話は別になってくる。あと、値段がくそ高い。300万円する。それなら、普通に武器やスキルブックを買いたいところだ。


 IHに水滴が当たる音がする。


「やべ!!」

 急いで火を止め、そこに冷凍のうどんを放り込む。さらにそこからしばらく放置だ。


 と思った時に、ガチャガチャと鍵が開けられる音がする。と言っても親なのは当たり前だ。言っても午後4時半ぐらい。晩御飯を作るために親が帰ってきたようだ。さらにその手には、買い物袋を置き、再び車から荷物を出そうとしている。その買い物袋を持ち、リビングへと運んでいる途中にまた親が入ってきた。その手には結構な大きさの段ボールを持ち上げていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る