第593話

 魚同士をぶつけようと近づけたのだが、ある一定の距離まで近づくと元いた場所に戻っていく。不可侵の領域があるようだ。ナワバリの範囲が決められており、そこに近づく魚は互いに尊重しあっているといった感じだ。


 さらに水中にシールドを出して、そこにぶつけようとしたがそれも避けられてしまう。空中に移動すれば、攻撃がなくなる。どうやら、水中にいる敵限定で攻撃が行われているようだ。


 行き先に壁があれば避けるといったこともできる。その判断基準は何だろう。分身体を囮に使えば簡単に空中に飛ばすことができ、それを魔法で打ち落とす作業すればいいだけだ。


 だが、分身体を多く作る必要があり、そう長く時間をかけるわけにもいかない。1回の飛び出しで確定で死ぬ。ステータスが足りずシールドを出しても切り裂かれ、守られている体にもダメージが入る。それが連続で行われるので簡単に死ぬことになる。


 魔法を水中に放てばそれを避けるようにして移動し、当たらない位置から飛び出し切り掛かってくる。人間だけを切り裂くだけでもなかった。。試しとして、オークやゴブリンを召喚した。その時はオークの方は一瞬で殺しにかかっていた。


 だが、ゴブリンの方は、小さい魚が襲い掛かる。まるで雑魚を子供の練習台として戦わせているみたいな感じだ。そして食べ物の場合は、オークの肉は一瞬で食い尽くされた。


 ゴブリンの耳は誰も寄られることはなく、反対に離れていく。好き嫌いがあるようだ。ゴブリンかわいそう。水魔法を操り攻撃に変えようとしても、水に触れることで、そこに魔力が溶け込む。その結果、操作の難易度が跳ね上がる。そうなれば魔力をより込めることで操作が楽になった。


 毒団子を作れば、早く殺すことができる?早速試してみる。肉をミンチにし丸く形を作る。そしてすり潰した毒草を混ぜ込み形成する。すると完成だ。適当に召喚したゴブリンに食わせると毒の状態異常になったので効果はある。


 そして、シールドの上からそれを落とした。水の中に潜っていきながら分解されていく、それに魚が集まり食べ出した。その多くの体によって発生させられる波が、水面を揺らす。そして浮かんでくるのは死んでいる魚の死骸だ。


 浮かび出すと同時に食べるのをやめていく。だが、一口食べたならもう毒にかかっているのだろう。少しずつHPは減っていき最終的に死に至る。そんな作戦だ。足を水につけると飛び出してくるのだが、毒により弱っているのでそのスピードも遅くなっている。


 余裕で殺すことができた。そしてドロップはソードフィッシュだった。一応食用のものだ。だが、あの毒団子を食べた個体だよな・・・。不安でしかない。一応鑑定の結果安全とされていたのだが、不安なので売却することにした。

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