第1042話

 目の前にある所に同じように土魔法を発動させ、行き先を確認しそこに入る。また隣だ。全部隣だと判断するのはまだ早い、変態チックな鬼畜トラップだ。絶対に何かの罠があるため、慎重に進んでいかないとな・・・。


 石を投げたが、近くでその反応を見ることができない。壁が半透明な影響で、飛んだ所にモンスターが発生するため、どこに移動したのかが分かりやすくなっている。だが、近くでその姿を見ることができなかった。


 魔力で視力を上げると見ることができる。今更だが、壁と同化をしてどこに魔物が現れたのか判断するのがめんどくさいな・・・。今までは近くだったからすぐにわかっていたが、遠くになると動きが小さくなるためわかりにくい。もしこのトラップを踏んでいると、自分の位置がわからなくなるだろう。行き先はここ1つしか残っていないため、このトラップに引っかかり移動をする。


 壁が透明になっているため、今の位置の判別が難しいな。場所の判別方法は、後ろにある入り口を見るか前にある出口を見るかだ。・・・ほぼ同じじゃねーか!よくある典型的なトラップの1つだな。出口を向いて転移したのに、入り口を向いていることだ。


 それにより、前後間隔がなくなるものだ。入口に帰る方法さえメモしておけば、問題はない。だが、メモをしていなければ一生迷うことになりそうだ。マップのスキルを作っていて正解だな・・・。ちなみに壁の破壊は不可能だった。


 魔法は貫通し当たり判定がなく。すり抜けた瞬間推進力を失いその部屋の地面に当たるようになっているようだ。物理攻撃も無効の効果がついているようだ。傷1つ付きやしない。脱出方法はただ1つ、転移トラップを踏むことだ。


 疑似的なセーフポイントになっているようで、魔物は一定距離から入ってくることができないようだ。魔物が転移可能になっていると、この階層は魔物だらけになっていただろう。転移ポータルもほぼ同じものと見ていいはずだ。目印のようなものがあればいいけど・・・。あー、人が入ってきた場所が入口になると考えて良さそうだ。


 1パーティーがこの階層に入ってきて、すぐ引き返している。次の魔法陣に石を投げ入れた所、その行き先の部屋の壁がゴーレムによって包まれ、ドロップに変わる。圧死だ。あれが即死トラップか・・・。不名誉にも程があるだろ・・・。


 ドロップに変わった所に再び転移する。反応はなかったようだ。ドロップが存在しているときにはトラップが発動しないという考えで良さそうだ。そこにあったのは宝箱だけで、魔法陣はない。どうやら、1ルートの完結地点のようだ。


 宝箱を開けると中に小さな宝箱がある。最後まで行くためにそれを繰り返す。完全なマトリョシカだ。宝箱のマトリョシカか・・・。ただの飾りだろう。そして、宝箱の最後には指輪が入っている。とりあえず、その指輪をマジクバッグの中に入れた。この宝箱は持ち帰り不可なのだろうか?


 その宝箱を引き抜こうとしていたときだった。ピンッと糸を引くような感覚がある。宝箱の下に設置されているタイプのトラップのようだ。一旦宝箱を戻し、再び糸を引く。上の扉が開かれていたのだが、その扉が閉まっていく。


 挟まれたゴーレムの腕が1本落ちてきた。ゴーレムの動かし方は中に骨組みとして金属の棒を入れ込み、その周りを石が覆っている感じだ。その中心にあった金属がだらりと外に垂れてくる。魔力探知でコアを見つけ出し、そのコアを潰しドロップへと変える。1番の収穫はこのスライム金属だったようだ。


 コアが複数個あるタイプのボス的な勘違いをさせるためのトラップか?スライム金属が手に入ったため、ラッキーだ。一旦魔法陣に入り、1つ部屋を戻る。そこに召喚されたゴーレムを殺し、指輪の効果の鑑定だ。


 指輪の効果は、帰還の指輪らしい。その階層の入り口に戻ることができるようだ。仲間を引き連れて戻る場合は、手を繋ぐ必要があるらしい。マップを書かない、愚か者に当てられたものだろう。迷路から脱出するにはこっちの方がいいか・・・。

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