第858話

 とりあえず、一番最初に殺しに行くのは、あの入れ歯飛ばし検定1級を持っているあのオークからにするか。噛みつきでの細菌感染もなさそうだし、一番安全だろう。持っている武器はあの棍棒だが、攻撃を喰らわなければ問題はないはずだ。


 一応木の幹を削るぐらいの力はある。その攻撃力の高さは警戒しないといけないな。素早いのだから、距離をとって戦闘をしてもよさそうだ。スピードが遅いのだから、トラップでもハマりそうだ。スピードが乗っていない攻撃なんてダメージが低いと思うのだが、何が原因なのだろう?


 発勁の応用で武器から、攻撃する物体に気力を込めて爆散させているのか?それでもなければ、スキルぐらいでしかあり得ないだろう。攻撃をするか。大体の行動パターンはわかったような気がする。背後を向けているオークにファイヤーランスを飛ばした。


 だが、あと数メートルで当たると言う時に振り返り、その棍棒で払い除ける。歳をとっているのだから気力操作とかもできるのだろう。オークから無駄な力が抜かれたような感じだろう。変に力が入っていたり、大ぶりな攻撃ではない。


 あのオークの体から放たれた攻撃は無駄のない動作だった。だが、あのオークは動こうとしない。動けないと言うのが正しいだろう。魔法を対処するのが精一杯で、攻撃に動くことができないのだった。動きには無駄がないが、そのスピードは遅い。


 上に持ち上げ、ファイヤーランスを地面に叩き潰した。それと同時に地面にヒビが入り、岩が持ち上がる。当たる瞬間に力を入れているのだろう。そのため、無駄な力が入らず、全ての力を叩きつけることに使っている。それを横にした時が木が折れた時の攻撃方法だろう。


 精密な重心移動もだ。攻撃を受ける時に全て同じ方に体重をかけているのではなく。少しずつ体重の位置を変えている。そのため、受け流すことを失敗しない。これに弟子とかがいれば厄介だが、そんな相手はこの階層にいないだろう。


 歳をとっていることで、このステータスが下がり攻撃の威力は落ちていることだろう。隙はいくらでもある。まずは数だ。オークの周りにファイヤーランスを作り出し、それを一斉に落下させたり、横から貫くようにして動かす。


 もうこの時点で対処できず、攻撃を受けてしまっている。次は地面からの攻撃だな。目の前の俺と言う存在を認知しすぎだ。老化と同時に思考も弱くなっているのが原因だな。その結果、起きるのは足元への攻撃に対処ができないことだ。


 土操作で足を固定した。一番最後は、骨の骨密度が下がっていることだ。としを取ればなる病気の1つ、骨粗鬆症だ。カルシウムや運動不足によって引き起こされる病気だ。それになっている可能性が高い。その足を固定していたオークに土魔法で剣を作り、圧縮を繰り返し質量を増大させる。


 そして、それを振り下ろした。棍棒を横にし振り下ろす攻撃を受け止めようとしているオークは、重さに耐えることができず足の骨が折れる。圧力を逃す面積が増えたため、攻撃を受け止めている。そこに残っていたファイヤーランスを飛ばすことでそのオークは死んでいく。

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