第145話

 26日になった。そして始まるのは大掃除だ。魔法は電気に影響したりされたりはしない。そんなことはダンジョンが始まってから証明されわかりきっている。あの教室よりも魔力を込めた方がいいのかもしれない。外に出て家全体に魔法をかけた方が有効的なのかもしれない。


 思うのならば即行動だ。家の外に立ち、魔力を半分ほど使い浄化をかける。家が光だし、その光が収まる頃には新品同然の真っ白の壁になっている家が出来上がっていた。いつもの家であれば、太陽の光の関係上、影のところには苔が生えており、緑っぽくなっていたのだが、今の家にはそんな緑の箇所なんて存在していない。


 全てが真っ白な壁だ。家の中を確認してみる。残っていたはずの風呂場の黒カビや水垢、背の高さを書くために書いていたものまでも綺麗に消えてしまった。思い出までもが消えてしまったのは残念だったが、仕方がないことだ。流石に傷までは消えなかったようで、画鋲で開けた穴がそのままになって残っているのがわかる。


 それが終わり、家でのんびりと過ごすことになった。最近さらに外が冷たくなってきている。そのため外に出ず、宿題を済ましているところだ。それらが終わり12月29日になった。その日から親は年末の休みになるので、この日から祖母の家に遊びに行く。


 泊まるための準備も終え荷物の最終確認も終わった。もちろんマジックバックも活用しており、中には、念の為の着替えや水が入っている。避難袋としても使えるのでありがたい話だ。


 夕方になり、車で祖父母の家に到着する。まだ車が停まっていないことをみると、あの従兄弟は帰ってきていないようだ。だが一番の問題は姉妹の中も悪いことだろう。母とその姉が仲が悪い。そのため出会うと常にマウントの取り合いを繰り広げている。


 それが大人のみで行われればいいのだが、俺たちまでその手が伸びてきているのが鬱陶しい。この前の夏休みの時なんかもそうだ。マウントをとってくるようになった。


 そして、それを聞いた親が母に向かってマウントを取るといったことが繰り広げられている。おそらくパーティーで戦っている。というか親はダンジョンになんか興味がなく、今どの階層なのかもわかっていないようだ。動画のコメントで教えてもらっているらしいが、聞いていないことはわかっていない。


 そのため、ダンジョンの危険さを理解していないのだ。そのおかげで助かっている身ではあるので教えないのだが。別にお年玉も大丈夫かな・・・。もらえる分はもらっておくか。

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