第689話
重く質量もあるため簡単な風魔法では方向を変えることができない。さらに耐久値もあるだろうから簡単な魔法で破壊することは難しいだろう。それを確認するために魔法を使いたい。だが、そんな使うための時間を通常矢のケンタウロスが許してくれなかった。魔法を放とうとすれば、分裂矢で妨害をしてくる。
嫌がらせのためにしているような感じだろう。鬱陶しいなー。1本ずつ飛ばされてくる矢を対処していると、攻撃手段が変わった。魔法矢を使っていたのが、近接武器に切り替わった。通常の矢を放っている方は、やれやれと頭を押さえている。どうやら魔力切れが近いようだ。
矢が空中に飛ばされ、分裂矢の雨が降る。だがそれは俺に当たらず、周りを封鎖し左右に避けることができない状態にしている。左右に避けることのできない一直線が出来上がってしまった。魔法弓が持っていたのは、ロングソードだ。
それを地面に擦りながら近づいてくる。ガリガリと音を立てる。走るスピードが速くなるにつれて、その音が段々鋭くなっていく。魔力強化でステータスも上げているのだろう。カーブよりも真っ直ぐに動くことが1番スピードが出る。
スピードが乗っている状態なら急に止まることはできないだろう。後方で、ずっと連射をしており、左右を封鎖しているやつは、もう勝ちを確信しているようだ。途切れる前に連射し、その都度矢を回収している。気力を使うのであれば、もう確実に仕留める技だ。
分身体をその場に出し、10歩前に出る。6歩目から魔法をセットし、その場で魔法が届く範囲に設置し分身体と入れ替わった。設置したのはアースウォールだ。馬の重さはおよそ450kgだ。頭の部分が人間に置き換わっていると考えると大体400kgとなる。
1枚であればタックルで簡単に壊される。なら厚くすればいい。そんな理由で魔法を連続で発動させるために移動していたのだ。その魔法が発動した。俺の方から壁が生えていく。向こうが無傷の場合、飛び越えてくるか、連続で放たれる矢が止まり横に避けることができるようになるかの2択だ。
武器で破壊することもできるだろう。だが、それは1枚だけだ。重いロングソードを振り回しながら連続した壁を壊すのにスピードが邪魔をする。ロングソードが使用されたのなら確実にタックルすることになる。
後方のケンタウロスは魔法矢を使っていなかった。それは、魔力探知が使えないことの証明にもなっている。ケンタウロスの目の前に生えた壁は動かずに見ていると、その厚みがわからないだろう。壁を貫通できる可能性に賭けて避けないように左右の動きを封じる。安全を取るためにスピードを落とさせ避ける。どちらを選択するのか。その判断に迫られている。
その判断は、左右の動きを封じるのを続ける判断をしたようだ。ガンッと音を立て、突っ込んでくるケンタウロス。その音を聞いた瞬間俺は前に走り出す。ガ、ガ、ガと少しずつではあるが掘られている。だが、そのスピードは段々遅くなっている。
音を立てているそこに近づき、壁に触り魔力をさらに魔力を込め形を変える。入ってきた入り口の土が閉じ、箱形になった。さらに魔力が込められたことにより頑丈になっている。土を操作し、内部に棘が生やされた。それを出しては戻し、出しては戻しを繰り返す。
内部では暴れているようでガンガンガンガンと壁を叩いたり蹴ったりしている音が聞こえてくる。だが、頑丈になった土魔法では削ることができても即修復されていく。これがリアルアイアンメイデンだ。分裂矢を飛ばし、取り返そうとしているが、分厚い壁の前では無力だ。貫通し回収している間に修復されていく。もう魔法矢のケンタウロスは助からないだろう。
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