第987話
突かれた槍を、左に動くようにして半身で避ける。右手側はそのオークにとって背中側になるため、ヌンチャクがそっちに入っていた。人数不利を防ぐためにそこに入ったのはよかった。槍を振り回すように攻撃をしてくる。それをしゃがんで避け、上に切り上げる。
そのまま、傷口に手を当て発勁で吹き飛ばし物理的な距離を開ける。ヌンチャクと一直線状になっていればこのまま、一緒にダメージを与えることができていた。だが、王子の姿を確認するために動いていた。見えないところから攻撃されることを防ぐためだ。
その間に盾持ちが合流した。槍持ちのオークの傷が深く、もう死ぬ寸前だろう。開いている傷口に光魔法でとどめを刺す。殺されたところを確認すると同時に、オークたちは一旦距離を開けた。そこに飛んでくるのが矢だ。
口に数本の矢を咥え、放った瞬間にそこから補充する形で撃っている。弓矢って銃の下位互換だな・・・。音が小さいため奇襲には向いているが、それ以外に適性がない。矢の補充をしている間に魔法が飛ばされる。この状態なら、魔力切れを待つくらいしかすることができないな・・・。
ここに、下がり気味だったヌンチャクと盾持ちが攻撃を仕掛ける。魔法ならある程度の操作が効くのだから、攻撃をするのならこのタイミングだ。ライトジャベリンを前衛のオークを狙い放つ。魔法の追尾性を知っているようで、盾で受け止めたりヌンチャクで壊そうとしている。
だが、あの王子が選択したのは閃光として爆発だ。要は目眩しだ。視界が白く輝いている状態がしばらく続く。人影なんか見ることはできない。完全にはまっているな。そのまま視界から外れている間に近づき、ヌンチャクの方を切り裂いて殺す。
盾を持っているオークの方が近かったが、攻撃を読むことができないヌンチャクを優先したようだ。飛ばされていた魔法はあの光の影響で位置を見失い、最初にいたあたりの場所に当たる。これで3対1だ。最初に言っていた、囲まれないようにするということを少し実践で取り入れた感じだ。
あの盾を持っているオークに近づいたことで、遠距離持ちが機能しなくなった。片手で振り下ろした剣を上に弾かれた。両手と片手では圧倒的に両手の方が強い。その腕から力が抜け、剣から手を離してしまった。もう、攻撃できる手段がなくなった。そのため、剣を拾いにいくことを諦め、盾をどっしりと構え防御に徹する。
ここをどう攻略するのかだ。選択した攻撃方法は発勁だ。一瞬盾の下に入ることで完全に視界から消える。盾持ちのオークは移動後の攻撃を警戒するために少し防御が甘くなった。そこに発勁が刺さる。どっしりと構えていれば耐えることができていたはずだ。
だが、綺麗に入ったことで吹き飛ばされ魔法でとどめを刺される。残っているのは後衛だけだ。そのまま、殲滅されこの階層をソロでクリアしてみせた。
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