第267話

 まだ、その殺人犯は捕まっておらず、逃走を続けている。それを防ぐために空港も閉鎖だ。だが、その悲劇は起きた。家に帰っていると、トレントの枝に貫かれて死んでいる死体が1つあった。しかも、塀に手跡がついていたことから、体を乗り上げてここに入ろうとしていたというのがわかる。


 すぐに警察に連絡した。もちろん学校帰りだったので俺のアリバイ?はある。母さんもちょうど買い物で、父さんは仕事でダンジョンに潜っていたということが判明し、全くもって問題はなかった。だが、1番の問題は、死体だ。その死体が、最近話に出ていた殺人犯の死体だった。


 死体は回収され、トレントにかかっていた血を浄化したり消毒したりと念入りに掃除をする。あんな雑菌の血なんか取り込まないでくれ・・・。そう願うしかなかった。SNSでは賞金はまだかけないのか?みたいなことを言っていたのを覚えている。大概、その賞金目当てにそいつを狩ろうというのが目的なのだろう。だが、それも上の命令によって止められていた。


 何が怖いのだろうか?そいつが資産家の子供だった?そんなの国がないのだから意味がない。というか国がないのだから持っている貨幣の価値も下がっているだろう。なのに前と同じ金で受け取る意味がわからない。本当に懸賞金をかけない意味がわからなかった。


 政府だけではなく、警察までもが信用できなくなってきたな。市や県はまだ信用できた。値段が低かったが、発生した市では懸賞金を出し、情報を必死に集めようとしていた。そのことで、政府や警察の株が落ち、この県の株は上がった。


 最終的に発生した県ではなく、県外の俺の家でその死体が出てきてしまった。警察の計らいにより、それは死んだといいよりも捕まったということになった。特に叩かれるということもなく、よくやったや安心できるというコメントが多かった。


 それもすぐに報道された。そして、誰も知らなかったはずの死体ということや、俺の家で起きたということも報道されている。これがマスゴミの力か・・・。本気で刃向かってくる奴を片っ端から潰していく作業が始まるな・・・。殺したことに対する批判が多く出てきているようだ。殺しにきているやつを殺すと、過剰防衛で殺人罪になる。


 それなら黙って殺されろとでも?思う。殺されるぐらいなら殺せだ。社会的立場を殺しにきているなら、命を奪い去ってもいいのでは?そうだな・・・。放送会社を壊すと関係ない人も巻き込むし、いっそネットで配信すればいいじゃん。今何人の登録者がいるのか知らないけど。

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