第883話
片付けをしていると嫌な予感がする。飛び上がりながら反転をする。そこにいたのは、先週も会った自称王子様だ。もう少しで掴まれそうになった。あんなタイプの人は握力が強いのが鉄則だ。絶対に握られてはならない。握られたら最後、りんごのように潰されてしまう。そんなゴリラ女だろう。
マジックバッグに銃を入れていた途中なため、まだ片付けも終わっていない。今回は中心あたりで銃を撃っていた。この人と関わりがある人の近くにいないため、俺に用事はないはずだ。・・・先週の報復か?分身体を出し、荷物の回収を命令する。
それと同時に的がある方に飛び、出口の方に移動をする。分身体の方は完全スルーだ。本体がこっちだというのはわかっているはずだ。ずっと無視をしていた結果、分身体は外に行くことが成功する。あとは、俺が出口から脱出するだけだ。
だが、完全に出口の数歩前で陣取っている。避けなければ、出ることはできない。もっと距離があれば振り切ったまま脱出することができただろう。ッチ。まっすぐ右から抜けようと動き出した。向こうから見れば、左手だ。利き手ではないだろう。だが、それを防ぐために王子(笑)の体の全体重が右に寄った。すれ違う手前の時だ。
通させないために俺から見て右手を前に出し、利き手で封じようとしている。加速した状態で右足に力を入れ、踏ん張り左に移動する。これで、左サイドに抜けることができた。その状態で、左足に力を入れることで追い抜くことができた。
空中で追い越してもよかったが、こっちの方が効率が良かった。分身体から道具を回収し、分身体を消し隠密を発動させる。最初から隠密を使えばいい。そう思われるだろうがそうもいかない。先生がずっと見ている訳が無い。そのため、見られていると隠密がその人に発動しないという特性を使うことができず、早退扱いになってしまう。それなら、隠密を発動せずにずっと姿を出している方がいいだろうと判断した。
捕まった地獄よりも、出席しているのに欠席扱いになって単位を落とす方が地獄だと判断した。そんな恨みを買うようなことはしていないけどな・・・。あいつに絡んだというわけでもない。原因はなんだ?よく分からんな。
この調子で逃げればいいだろう。純戦闘職だが、そこまで脅威でもない。余裕で回避できる。身体強化も使わずに済む。戦闘経験も浅いのだろう。分かりきった行動にそのまま反応してきてくれてありがたい。次は通用しないだろうから新しい手を身につけておかないとな・・・。
フェイクを2回入れて、裏の裏は表作戦でも行こうかな?最悪煙幕を使ってから、分身体で逃げても良さそうだ。遊びのようなものだ。戦闘なんか考えず、ゲームにあるようなミニゲーム感覚でできるから気楽だなー。
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