第882話

 スクロールの実験で月曜日は終わった。いつも通りの銃の授業だ。銃の歴史とかをするわけではない。銃を撃つだけなら別に問題はないだろう。多くの人が使っているのは、アサルトライフルが多いようだ。しかも実銃だ。


 親が金持ちなのか、ダンジョンで成功しているのかのどちらかだろう。動いている的をひたすら当てていくのはなんというか、暇だ。隠れるわけもなく、不規則な動きをするわけでもない。アサルトライフルが単発、バースト、セミオートと別れているように、スナイパーライフルも別れていることに気がついた。破壊してはならないため、試すのは今度ダンジョンに行った時だろう。


 奥の方にある的を撃ち抜きながら、早く時間が過ぎ去らないのか。そう思いながら時計をチラチラとみる。集中できなくなったようだ。近くに置かれている自動販売機で、水を買いゴクゴクと飲み再び銃を握る。あと35分程度だ。その時間が過ぎ去れば授業が終わる。


 再開してから、5分ほどだ。やっと集中できるとなった時には、すぐに時間が過ぎ去っていく。置かれている的に右から順番に撃ったり、中心からわざと外して周りの枠を狙ったりとゲーム感覚ですると集中が続くようだ。


 そして、いつの間にか授業が終わっている。次はアサルトライフルで練習するか・・・。そう思いながら片付けを始めた。妨害されたとかなんとかいってくるクソガキが1人いる。俺が狙ったのは、目の前にあった少し遠めの的と邪魔にならないように中心を外して他の的を撃っていたものだ。


 人違いだろ?それで妨害をしたといっているのであれば、その弾は中心に当たっていないということになる。別に問題はないだろ。テストでもあるまいし、そこを狙ってくださいとも言われていない。暗黙の了解?そんなの言われていないのにあったとか、言った者勝ちだろ。


 そんなものがあるのなら、あらかじめ伝えておくのは基本だろう。アホくさ。その邪魔をされたと言われた的を見る。だが、その紙に穴が開いているのは1箇所だけだ。・・・?しっかりと俺が当てたのは確認しているため、穴は俺が開けたものだ。銃を撃った痕跡は壁に穴が開いていることで証明されている。


 あー、理解した。練習中1発も当たらなかったのに。やっと最後の方で当たるってなったのを妨害されたから怒っているのか。フッ、哀れだな。ついつい鼻で笑ってしまった。顔を真っ赤にして睨んでくる。冷静だったのか、喧嘩をふっかけては来なかった。わざと当たって正当防衛でもしようと思っていたのに。


 冷静だとつまらないな。もっと感情的に興奮していてくれよ。話す価値もないので無視して、片付けを続けた。

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