第995話

 そのカースウエポンが横に移動することで、首半分が千切れた。その反動でつながっている反対側の方に倒れ、2つに折れる。頭の重さに耐えることができず、ぶちぶちと引っ張りあっている首の筋肉が壊れていく。


 ガチャと扉が開いた時には、首が地面に落下をしその入ってくる兵士の方を眺めている。なんだかホッとしているようだ。そして街の方からは拍手の音が聞こえてくる。まるで殺したことに感謝をしていたり、祝福しているようだ。


 気持ちが悪い街だ。一応隠密を発動しているはずだが、すれ違った全ての住民は俺の方を向いている。チラッとみたが違和感を感じた。それは拍手の方法だった。通常だと手のひら同士で拍手をする。だが、この住民の拍手の方法は手の甲同士をぶつけることでの拍手だ。


 通称死者の拍手とも言われている。気持ち悪さの原因はこれだった。ゾクゾクと体に寒気が走る。だが、その住民の顔は怒りに満ちているわけでもなく、笑顔だ。それが恐ろしさを加速させる。来た道を戻るように、背後を振り返ったときだった。


 入った時には通常の街だったものが、今では39階層の本来の街に戻っている。あれは一体なんだったのか?軽いホラーを体験したような気分だ。入り口の横に出口と書かれた看板がある方に入ろうとしていた時だった。


 入ることができず振り返ってみると、その街に黒い影が落ちている。そこから、手が伸び貴族を握りつぶした。ここまでが演出だったようだ。それが終わると白い光が差し込み、住民と思わしきアンデットが宙に攫われていく。


 もし住民を殺してから脱出をしようとすれば、鬼の形相に変わった住民がここまでやってきたのだろう。出口や入り口には入ることができるが街の方には行くことができない。どうやら次の階層に行くか、40階層に戻るかの2択しかないようだ。


 念の為、体に浄化をかけ除霊をしておく。黒い煙が体から出ていく。気持ち悪いので、今日は35階層のオークナイトにするか。やる気がごっそりと持っていかれたような気がする。これを何度も繰り返していると、病みそうだな・・・。それと暗殺に対する罪悪感も無くなるだろう。


 化け物になった人間を現代に放ちたいのか?一種の催眠のようなものだろう。悪いことをしてから褒めることで、あたかもそれがいいことのように思わせて罪悪感を薄まらせていく。ダンジョンってやばいな・・・。


 ドロップは干し肉とベル、魔石だった。干し肉には効果がなかったが、ベルには効果がある。スケルトンナイトの召喚だ。兵士を呼び出すことができるものだ。ただし条件があり1体しか呼び出すことができず、呼び出した時にはHPの10%を消費するようだ。


 そして、モンスターを倒したとしてもそのスケルトンナイトが進化することはないようだ。進化をしないのであればいらない。だが、一応持っておくか・・・。もしかすると、住民を一掃した時にはもっとドロップが美味しかったのかもしれないな。ホラー展開は懲り懲りなため、もうやめておこうかな?


 評価があるのなら、その評価基準や評価方法も書いていてほしいな。住民を殺してドロップが美味しくなるのなら、他にも美味しくなるような条件があるはずだ。例えば時間制限だとか、ギミックを解いてからクリアするとか色々思いつくことができる。


 せめてどれくらいの評価なのかをわかるようにしてほしかったな・・・。絶対に2度とこないけど。

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