第650話

 そして15階層のオーク、そのフィールドはいつもと違っていた。地面には畳が敷かれており、少し広くなっているようだ。その先にいるのは丁髷ちょんまげのついたオークだ。そして、時代劇でもよくみるお偉いさんが肘置きに肘をおいている。(名前は脇息)周りのオークは普通のオークだが、礼儀正しく座って飲んでいるようだ。


 酔うにも酔えないといったところだな。そして、手に持っている盃をあおる。そのからになった盃を地面に投げ捨てた。カランと少し高いところにいるため段差の尖ったところに盃が当たる音が響く。そして転がり壁際で倒れた。


 特に苦戦することもなく、殺し切った。そのドロップはハゲかつらだ。そうハゲかつらだ。大事なことなので2回言った。今回のネタ装備だな。あの姿を見れば、肘置きの方がドロップ枠かな?と思っていた。だが、まさかのハゲかつらだったとはな・・・。


 一応他のものが落ちる可能性もあるので周回はするつもりだ。一旦時間なので家に帰り次の日にするか。そのボス部屋を出て、そのハゲかつらを鑑定する。その鑑定結果は、スキルは同化だ。色の同化の方だろう。ネタで出てくるハゲかつらは、かつらの部分がプラスチックなためすぐに、それが偽物だと気がつくことができる。


 そう思えば、あのオークも禿げていたはずだ。そのプラスチックの部分がその人の肌の色に同化し、偽物のように見せない。そんな効果だろう。役者の小物として使えそうなものだな。被るだけでちょんまげになることができるのだからセットするよりも簡単だな。


 最近時代劇を取ったという話は聞かないが、過去の時代をモチーフにした作品であれば役に立ちそうだな。ゴブリンの頭に乗せてみるよ予想通り同化し、緑の肌がその表面に現れる。飛び出しているちょんまげは黒色だったのでそこは変化がないようだ。


 そして触った感覚も伝わるようだ。当たるか当たらないかを摩ることで気持ち悪くなる。それをやってみたのだが、ゾワゾワとしていたので感覚があることがわかった。それと同時に落ちたのは豚の串焼きだ。タレも塗られており、美味しそうと思ってしまった。だが、そのドロップも少なく2本程度だった。


 それならタレの方が欲しかったな・・・。家に帰りご飯を炊き、その串焼きを温め直した。その出来立てのご飯に串焼きを乗せ、かき込む。タレの味が口の中に広がり、噛めば米の甘みが広がる。肉も柔らかく米を食べていれば、その肉も噛み砕かれている。


 そして豚肉の味がやってき口の中は幸せで詰まっている。そして気がついた時には、米が残り少なくなっていた。だが今日はあまり動いていないため、そんなに腹も減っていない。米をラップの上に乗せ、その上に残った豚肉を乗せおにぎりにした。冷めるのを待ち冷蔵庫の中に入れた。明日の昼ごはんとして持って行くか。

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