第1232話

 全体の動きが遅くなったことで、切り開いた道の霧も再び強くなる。その結果、婆娑羅がイライラし始めた。ご機嫌取りなんてめんどくさくてしたくないぞ?その次の階層への出口に体を向け、槍を構える。そして斬撃を出すことで邪魔になる木々を切り倒したのだった。


 その切り倒し木々の上を3本程度の槍が飛んでいき、霧を晴らす。もうさっさと行ってしまうか。遅れるやつは放置していく。そう決めたのだった。霧が濃くなる前に進んでいき、次の階層に入った。


「ッチ」


 と婆娑羅が舌打ちをしている。そのむかつきには同感だ。ダンジョンの攻略の試験が終わったら次は精神力の試験だな。そう進言しておくか。


「お前はどうやってあの階層を突破したんだ?」

「速度の問題?」

「ああ」

「仲間がいなければ、あんな囁きでの時間稼ぎはないよ。代わりにマジックバッグからの強奪が増える感じ。重ければその場で落として、軽ければ持ちさって行く。今のところ持てるのはポーションかな。ピクシーが武器関係を奪うのは無理だった。攻略したのは魔力でのゴリ押し、ピクシーがある程度戦闘不能になれば、霧もなくなるから効率が良くなるよ。」


 おそらく、1番取られて厄介なのは、スキルブックやスクロールだろう。この辺り以外は金になるようなものは入っていない。そのため、ピクシーがちょっかいをかけてきても問題はない。


 22階層のアーミーアントは槍を地面に突き立て、落雷を引き起こさせる。それによりアーミーアントは全滅だった。その巣の中にいなかったものは生きており、攻撃をしてくる。その外骨格は硬く。何もこもっていない斬撃を無効化してくる。魔力を込めれば簡単に切ることもできる。さらに腹の部分は外骨格に覆われておらず、柔らかいのだった。この階層はすんなりと進むことができた。


 23階層だ。アラクネだ。槍を空中で操作し槍を隠した後、わざと居場所をバラすのだった。アラクネは攻撃を仕掛けるために降りてくる。その時に尻尾から出ており、支えにしている糸を断ち切るのだった。落下してくるアラクネの真下に、他の槍を立てらす。質量により貫通するのだった。体に穴が開き、そこから体液を撒き散らしながら死ぬのだった。


 酷いね。同じように24階層のドライアドはどうするのだろうか。そう考えていたのも束の間、火魔法が付与された槍を1番近くの木の幹に刺した。木は燃え出し、山火事となる。ドライアドがこの階層に侵入者がいることに気がつく。


 他の樹木を操作し、その燃え出した木を枝で覆い隠す。それにより燃えていた火は鎮火された。森を汚されたことでドライアドの目は血走る。手当たり次第で巡回し、出会う動物を皆殺しにしていく。火の槍を手元に寄せ、穂先を上に向ける。幹に刺すからあまり燃えなかったのだ。なら1番燃えやすいのは?その枝についている葉っぱだ。


 槍が垂直に上がる。そしてガサガサと音を立てながら葉をかき分ける。落ちてくる葉は、燃え出しているものだ。風によりゆらゆらと揺れ、近くの木に張り付き引火する。そして、槍の動きはまだ続く。枝の中に入ってからは横向きに移動を開始し、障害物を焼き払っていくのだった。


 森が命の源(みなもと)になっているのだから、その森が壊されていくとHPが減っていく。そして、ドライアドの体の表面が燃え出す。森との運命共同体だったようだ。最適解は森を燃やせだ。森林系の魔物だと森を燃やすのが正解なのかもしれないな。これで24階層まで攻略完了だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る