第1355話
棒についている鈴を鳴らしながら、オークがその岩に向かって祈っている。オークにゴブリン、コボルト、ヴォーパルバニー、と多種多様な種族の者たちが首を下げ、そのオークに祈っているところだ。傷もついていることから戦闘から逃げてきた者だろう。御神体として祀られている石の上には精霊がおり、本来の精霊よりも黒っぽくなっているのだった。
そして祈りが届いたのか、その傷が修復されて行くのだった。傷が言えるごとにそのオークがいる足元にいた動物が死に肉がなくなっていく。おそらくHPを吸収して、仲間に与えるタイプのヒーラーだ。精霊であれば、契約した者の魔力を使うことで魔法を使用する。
そのことから、この精霊は邪精霊とかその辺りだろう。その信仰の効果でさらに力を増し、回復力を底上げして行くのだった。もう、足元にあった動物は骨になっており、その背後の樹木も枯れ木に変える。
後身体となっている石を持ちながら、その精霊信仰に熱い者たちは移動するのだった。次の獲物を探し、さらに傷を治すためだろう。こういうのは術者から殺すのが基本だ。狙うべきはあの神官のポジションにいた唯一祈っていないオークだ。おそらくあれが、精霊に命令している者だろう。
草木に隠れ、魔法を放ったときだった。音減少により、もう音がない状態だった。だが、ヴォーパルバニーがその神官オークを守るために間に入り守るのだった。信仰心が厚いことを表している。その間に横に分身体を移動させ、魔法を放つように命令を出す。
ほとんどの魔物がこちらを向いていたのが、他方向に向くのだった。俺の行動が誘導だと勘違いしたようだ。その場の地面に実験体Aの種を埋め発芽し成長させる。種の雨を降らせるのだった。
実験体Aは役目を終え枯れていく。だが、他のオークが盾として入ることで、実験体Aからの攻撃を防ぐのだった。鎧もつけていないその体に、種が埋め込まれていく。その傷を見た神官はひどく悲しみ、手のひらを他の木に当て、生命力を吸収し分け与えるのだった。
HPの分配系で確定だろう。その体内に残っている種を発芽させ、急成長させる。植物はコンクリートも破壊する力を持つ。それなら体内を破壊する程度のことは、簡単に行うのだった。体の内部に根を張り、蝕んでいく。そして、無傷の状態のままそのオークは死ぬのだった。
死に倒れたオークの体から三つほどの実験体Aの子孫が生えてくる。そして周囲にいる魔物に攻撃を仕掛けるのだった。急な攻撃により、数体は死ぬ。さらに横からの分身体の魔法により元の数の半分以上が死ぬのだった。
仲間が死んだことに怒りを覚えたのか、邪精霊の力を解放するのだった。周りの生き物(植物)を殺し、HPを吸収するのだった。それに伴い、周りにいた仲間も白骨化し、死にたてのオークも白骨化するのだった。
分身体に魔力を多めに込めたライトランスを当て爆破させるように命令を出す。その命令通りにライトランスが体に当たり爆破する。体に巨大な穴が開いた。だが、その穴からは内臓は落ちてこないのだった。内臓だけではない、血の一滴すら落ちないのだ。
そのHPを大きく吸収した邪精霊の効果か、肉が再生し始め、元の肉体に戻るのだった。その再生効果は回復魔法と合わさり、能力が跳ね上がる。その邪精霊を連れたオークが一歩、一歩と進んでくるにつれて森や大地が枯れていく。吸収したHPを全部使い切ることで、このオークを殺すことができるのだろう。
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